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誰がミルク業界を潰したのか? 米国で激化する「ミルク戦争」の行方:瀕死の状態(1/4 ページ)
米国で、牛乳離れが加速している。子どもの成長に欠かせない、栄養価の高い飲み物として知られているのに、なぜ米国人は牛乳をあまり飲まなくなったのか。背景に……。
子どもの成長に欠かせない、栄養価の高い飲み物として知られている牛乳。育ち盛りの子どもがいる家庭では、冷蔵庫に必ず入っているアイテムだ。米国の家庭では、朝食のシリアルと一緒に消費されるため、スーパーでガロン(3.7リットル)入りの牛乳が定番として売られている。
そんな大容量の牛乳が定番サイズになっている米国は、牛乳の生産量で世界一を誇っている。(生産量世界一はインドという説もあるが、牛ではなくバッファローのミルクが大半を占めているため、厳密にいうと順位が異なる)
となれば、さぞかし牛乳の消費量もとんでもないと思うだろう。しかし、実際には過去40年ほどの間に、米国人の牛乳離れが加速している。
1975年には国民1人当たりの牛乳の消費量が247ポンド(約112キログラム)だったのに対し、2017年には149ポンド(約68キログラム)まで減少。なんと、牛乳の消費量が40%も落ち込んでいる。
その結果、牛乳の販売価格は下落しているのに、生産コストは上昇しているため、酪農業界は瀕死の状態に陥っているという。米国農務省によると、18年には2700軒以上もの酪農場が閉鎖に追い込まれている。
米最大の乳製品会社Dean Foods(ディーン・フーズ)ですら、倒産してしまうのではないかとささやかれるほどになっている。では、いったい何がミルク業界をこのような状態に陥れたのだろうか。
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