「円安」だと「日本株」はどうなる? カードゲームで学ぶ経済
東京証券取引所が、経済を学べるカードゲームを使った金融教育を実施。イベントに参加した9歳の男の子は、「『イノベーション』と『いざなぎ景気』が、絵柄が面白くて好き。経済がどうなったら、そのあとお店や会社がどうなるかが分かった」
東京証券取引所は8月6日、子供向けの金融教育の一貫として、経済カードゲームを使った親子イベントを開催した。NPO法人の金融知力普及協会が開発した「エコノミカ」を用い、親子50組が、ゲームを通じて経済や金融の仕組みを学んだ。
イベントの講師を務めたのは三井住友DSアセットマネジメント。同社人事部兼コミュニケーション推進部の田中博子参与は、「子供はカードゲームが好き。経済のメカニズムを楽しく身につけられる。例えば、円高のカードを出すと株の価値が下がるといった、経済のメカニズムを織り込んでいる。中学生になったときに、ゲームで円高やデフレという言葉が出てきたなと思い出してもらえれば」と話す。
エコノミカは、対戦型のカードゲームだ。日本株や預金、ゴールドなどの「アセットカード」を持ち、「円安」や「好況」「デフレーション」「中東の戦乱」といったイベントカードを出すことで、各アセットカードの価値が変化する。
「経済や金融に興味を持ってもらう入り口として、楽しみながら用語を覚えていける」と、金融知力普及協会の水谷昌弘上席研究員は意義を説明する。
イベントに参加した9歳の男の子は、「『イノベーション』と『いざなぎ景気』が、カードの絵柄が面白くて好き。経済がどうなったら、そのあとお店や会社がどうなるかが分かった」と感想を話した。
米国などに比べ、日本では資産形成が預貯金に偏ってきた。老後資金を作る上でも資産運表の重要度は増しているが、金融知識を身につけることで、セールスに惑わされずに判断できるようになる。三井住友DSアセットマネジメントの伊藤一弥コミュニケーション推進部長は、「子どもたちが大きくなったときに、米国のように自覚を持って資産運用をやれるようになることを目指したい」と、金融教育の狙いを話した。
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