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マザーハウス代表、山口絵理子が語る“脱・対立”への道 価値観の違いが渦巻く世界から学んだことマザーハウス社長が語る“脱・分断”への道(2/3 ページ)

「途上国から世界に通用するブランドをつくる」――。そんなミッションを掲げて若くして起業し、さまざまな困難を乗り越えながらマザーハウスを成長させてきた同社代表の山口絵理子氏。同氏がビジネスをよりよくするためのフレームワークとして大事にしている「サードウェイ」とは?

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サードウェイのつくり方

 「サードウェイ」を絵でイメージするとしたら、こんな感じだ。

 丸いものが集まるグループと、四角いものが集まるグループがあって、二つは遠くにあって交わろうとしない。

 丸と四角を足して2で割って「丸っぽい四角」をつくっても、魅力的にはならない。そうではなくて、「両者のいいところを組み合わせて、新しいものをつくる」という手法をとってみるのだ。

 まず、目を凝らしてそれぞれを観察する。それぞれの素敵なところを見つける。キラリと輝く魅力を持ち寄って、ベストな組み合わせで形をつくってみる。縦一列に並べるのがいいか? ジグザグに配置するのがいいか? 積み木のように、四角のパーツと丸のパーツを使ってデザインしていく。

 このときに大切なのは、「何をつくりたいのか?」「何を大切にするのか?」を自分に問い続けること。そして、面倒がらずに手を動かす。これらの試行錯誤を続けることによって、価値は高まり、上昇していく。

 たとえば、大量生産と手仕事。大量生産は途上国において負の側面もあるけれど、利点だっていくつもある。工場運営のノウハウ、効率的な素材管理、調達手法、人材育成手法、それらはいつだって役に立つ。

 一方で、手仕事のよさは、高いレベルの職人技術が消えることなく開花され、人間の温もりが表現される部分、愛が商品に宿る部分にある。

 ここでのサードウェイは「手仕事を“効率的に”やるには?」という問いから始まる。一見、不可能に感じられたとしても、あきらめずにトライを続ければ、答えは必ず見つかる。少なくとも、私は複数の答えを見つけてきた(本章をお楽しみにしてほしい)。そして、この問いの答えには、日本を含め、世界中の「伝統技術の未来」を守るヒントがあると思っている。

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