マザーハウス代表、山口絵理子が語る“脱・対立”への道 価値観の違いが渦巻く世界から学んだこと:マザーハウス社長が語る“脱・分断”への道(3/3 ページ)
「途上国から世界に通用するブランドをつくる」――。そんなミッションを掲げて若くして起業し、さまざまな困難を乗り越えながらマザーハウスを成長させてきた同社代表の山口絵理子氏。同氏がビジネスをよりよくするためのフレームワークとして大事にしている「サードウェイ」とは?
サードウェイを実践した13年間
この本の中で取り上げるのは、「社会性とビジネス」「デザインと経営」「個人と組織」「大量生産と手仕事」「グローバルとローカル」という5つの軸だが、日常生活を送る上で、日々直面するさまざまな二項対立は山ほどある。
若者と高齢者、禁煙と喫煙、労働と休息、管理する人とされる人、男性と女性……。そういったものごとの間で、私たちは生きているし、揺さぶられ、一方に寄りすぎて、他方を無意識に傷つけたりするが、その反対もまたある。
その都度、私たちは、ついつい「妥協点を探る行為」を求めがちだけれど、きっとそれだけでは、消耗していく。私は両者の交差点で生まれるアイディアや共感、相互作用が、もう一段高い次元での解決策を、広く社会に提供するものであると信じている。
何より、そのほうが楽しい。ワクワクする。無理がなくて、長続きする。だから、サードウェイという考え方を一人でも多くの人に知ってほしいと、強く思った。
この本は、私――山口絵理子という個人が体験してきた「サードウェイ」のエピソードとその概念、考え方をまとめたものだ。
会社の経営とプロダクトのデザインを担い、先進国と途上国を行き来し、大量生産と手仕事を組み合わせて、高い目標へと向かってきた13年の経験を、初めて「サードウェイ」という一つの軸で振り返ってみた。
私の短い経験だけがベースになっている。それでも、自分がやってきたことしか、書いていない。
この本を手に取ってくださったあなたの日常に、「サードウェイ」という思想が、実践的に、少しでも役に立つことがあれば、とてもうれしい。
【後編に続く】
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