この記事は、ソニックガーデン(SonicGarden)の代表 倉貫義人氏の著書「管理ゼロで成果はあがる〜『見直す・なくす・やめる』で組織を変えよう」より転載、編集しています。
本社オフィスなし、管理職なし、休暇取り放題、売り上げ目標・ノルマなし――。そんな働き方で成果を上げている会社がある。Webアプリケーションの開発を手掛けるソニックガーデンだ。
なぜ、このような常識破りの働き方で生産性が上がり、右肩上がりの成長ができるのか――。同社社長の著書、「管理ゼロで成果はあがる〜『見直す・なくす・やめる』で組織を変えよう」の中から今回は、社員の「やる気」を引き出す方法を紹介する。
やる気を見直す 〜無理に上げない、なくさない状況をつくる
高い生産性や品質を実現するためには、スキルや能力もさることながら、本人の仕事に対する気持ちも非常に大きな影響があります。だからといって「やる気を出せ」と指示をしてやる気が出るのなら、苦労はありませんし、そもそもやる気など、他人が簡単にコントロールできるものではありません。だけど、こんな状況だとどうでしょうか。
- 創意工夫が許されていない
- 何のための仕事か分からない
- 自分の仕事だと感じられない
- 仕事が社会の役にたっていない
- 成果に対して反応が何もない
- 続けても成長できる実感がない
こうなってしまうと、やる気は簡単になくなってしまいますし、やる気を出そうにも出せません。できることは、こうした状況を生み出さないようにすることです。そのためのコツを見ていきましょう。
作業ではなく仕事を任せる
「マニュアル通りにやってくれればいい」
そんなふうに、決められた手順から外れないよう、規則や定義にしばられた中で創意工夫もなく手を動かすだけだとしたら、まるで機械です。誰にでもできる単調な「作業」でやる気を出すのは難しいことです。
そもそも「仕事」と「作業」は違うものだと私は考えています。「作業」というのは、事前に定められた手続きに従って行う活動のことです。手を動かすことに価値があります。一方で「仕事」は、誰かに価値を届けるための活動です。仕事をする人は「価値とは何か」を考えなければなりませんが、それこそ仕事の醍醐味です。
仕事で成果を出すために、途中で作業をする必要が出てくることもありますが、その逆はありません。仕事には進め方にも創意工夫の余地がありますが、作業にはありません。仕事の場合、「どうやって無駄を省いて効率を上げるのか」「どうすれば効果的に価値を出せるのか」のアプローチは任されています。
私たちの会社でいえば、リモートワークを広めるメディアを運営している事業があります。その事業を担当している社員がすることは、「たくさんの記事を書く」作業ではなく、「より多くの人にリモートワークのよさを知ってもらう」仕事だと伝えています。分かりやすい結果や指標がないので非常に難しい代わりに、自分で考えることのできる余地がたくさんあるので、主体性を持って取り組んでくれています。
自分で創意工夫ができると思えば、仕事に対する主導権を握ることができます。それはやる気につながります。作業ではなく、仕事を任せましょう。
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