この記事は、ソニックガーデン(SonicGarden)の代表 倉貫義人氏の著書「管理ゼロで成果はあがる〜『見直す・なくす・やめる』で組織を変えよう」より転載、編集しています。
はじめに
- 「しっかりと管理するほど生産性が下がってきたように感じる」
- 「管理したいわけじゃないけど、生産性の上げ方が分からない」
こんな悩みを抱えたことはありませんか? 同じ悩みを私も抱えていました。
私たちソニックガーデンは、2011年に創業したシステム開発をおこなっている企業です。社員数は35人(2018年8月)で、そのほとんどがプログラミングで仕事をするエンジニア集団です。これだけ書くと、どこにでもあるような企業と違いはありませんが、ほかの会社にはない特徴がいくつもあります。
まず、私たちの会社には、本社オフィスがありません。社員の半数以上が地方に住んでおり、在宅勤務で仕事をしています。社員がいる場所は、15都道府県にもまたがります。スノーボードが好きで夫婦で長野に移住した社員もいれば、海外を旅しながら仕事をしている社員もいます。
そんなふうに全員が離れた場所にいますが、気軽に相談しあって助け合ったり、ときには雑談をしたりしながら、チームワークを大事にして働いています。ともすれば個人事業主の集まりのようなイメージをされるかもしれませんが、全員がフルタイムの社員であり、新卒も採用しているし、教育に投資もする、れっきとした会社です。
- 「でも、オフィスに出社しなくて、いったいどうやって管理しているのか?」
そう思うかもしれませんね。じつは、私たちの会社には管理職が1人もいません。そもそも部署もないし、指示命令する上司もいません。社員全員が自律的に考え、自主的に働く組織なのです。
上司がいないので、決裁はありません。誰でも経費は事前の承認なく使えて、休暇だって取り放題。評価制度さえなくて、基本的に給与は一律で、賞与は山分け。だから、売上目標やノルマといったものもありません。もちろん、残業や休日出勤などはほとんどありません。
それでも、創業以来ずっと増収し続けて成長してきました。5人で始めた会社が、7年で35人になって、多くのお客さまに喜んでもらって支えてもらっています。
その働き方と成果が評価されて、2018年には日本における「働きがいのある会社ランキング」(意識調査機関Great Place to Workが実施)の小規模部門で5位のベストカンパニーで入賞、「第3回ホワイト企業アワード」(日本次世代企業普及機構が選出)でもイクボス部門に入賞しました。
関連記事
- なぜ、「日本的人事戦略」は機能しなくなったのか?
年功序列、終身雇用といった“日本的人事”戦略が崩壊し始めている。なぜ今、これまでのやり方が否定されているのか――。その理由を探った。 - 働き方改革で得する人、損する人
【お知らせ】記事本文を取り下げいたします。 - 変化の時代のお荷物、「上下関係にこだわる人」を見分ける方法
「俺のところに会議の出席案内きてないけど?」「何で部長に言う前に、俺のところに持ってこないの?」「これ、席順が間違ってるだろ」――。そんな「序列へのプライド」を捨てきれない旧人類を見分ける方法とは? - 「エライ人=管理職」をやめようとして大失敗した話
変化の時代に実務を知らないマネジャーは使いものにならない――というのは昨今の定説だが、その問題を解消するのは非常に難しいようで……。 - 他人に惜しみなく与えて「成功する人」と「搾取される人」はどこが違うのか
「与えよ、さらば与えられん」という言葉があるくらい、ビジネスの世界では「与えること」が重要視されていますが、考えなしに与え続けていると……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.