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「管理ゼロで成果なんか上がるわけがない!」と信じ切っている人へ自由に働く組織に帰るための3つのステップ(2/3 ページ)

働き方の常識を疑った結果、見えてきたものとは?

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創造的な仕事は管理しないほうが生産的になる

 私は以前、3000人ほどの社員のいるシステム開発の会社で、管理職として働いていたことがあります。その規模の会社になると多くのルールがあり、そのルールを守らせることも管理職の仕事の1つでした。

 本来システム開発は、お客さまにとって新しい価値を生み出す提案や、高度な技術を駆使したプログラミングなど、とても創造的な仕事です。この仕事の特徴は、粛々とマニュアルに従って手を動かすというよりも、机に座っているときだけでなく、仕事以外の時間ふとしたときにひらめいたり、同僚との雑談している中でアイデアが出たりすることです。

 それなのに、「使ってもいいコンピュータはこれで、閲覧してもいいWebサイトはこれだけ」「組織の誰かが決めたプロセスに従わなければいけない」「勤務時間や勤務場所は固定して、人事評価は組織で一律の基準に則ること」など、多くのルールを守らせなければなりません。

 人数が多いから仕方がないとはいえ、性悪説を前提としたルールで管理をすればするほど、独創性は失われ、社員たちのやる気は下がり、生産性は落ちていきます。ルールで縛れば縛るほど、自分たちで考えることを放棄するようになっていくのです。それは非常に残念なことでした。

 そこで、今の会社の前身である社内ベンチャーを始めたとき、私は「なるべく管理をなくせないか?」と考えました。そして、実際に管理を減らしていけばいくほど、チーム全体の生産性は高まっていったのです。

 信頼関係さえしっかりと築くことができれば、管理などしなくても誰もが管理していたとき以上に責任感を持ってきちんと仕事に取り組むし、個々の主体性も増しました。指示されて働くよりも、自分ごとにして圧倒的に楽しく働いてくれるようになりました。

 そして、社員が自律的に楽しく働くだけで、お客さまからの評判は高くなり、新規事業が勝手に生み出され、創業した私が想像した以上の成果を出すことになったのです。

 また、上司が指示命令をしないことで、現場で判断してお客さまのためになること、会社にとっていいことを自分で判断するようになり、スピード感は増して、高い生産性を出すことができるようにもなりました。そもそも判断の難しい現代の仕事において、コマンドコントロール型のマネジメントでは上司やマネジャーがボトルネックになっていたのです。

 これは、何もITの仕事に限った話ではありません。どんな仕事にも、創造性を発揮する余地はあります。仕事の進め方を工夫したり、お客さまの満足度を高めたりすることは、働く人のモチベーションに大きく左右されます。そうしたとき、管理で縛るより自由に働くほうが高い生産性を発揮するのです。

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