リノベマンションの手数料無料販売は中古不動産を活性化できるか?:iBuyerモデルのすむたすが直販サイト(3/3 ページ)
リノベーションマンションに特化した直販サイト「すむたす直販」がスタート。自社物件だけでなく、リノベーションマンションの再販業者も複数参画し、現在すでに約100物件を掲載している。特徴は、手数料を完全無料としたことだ。
日本の不動産は新築偏重
すむたすのビジネスモデルは、米国で急速な普及を見せているiBuyerというモデルだ。米国市場を見て、米国の不動産テック企業をベンチマークしていく中で、日本の不動産マーケットの課題は、中古不動産の売買が極端に少ない点にあると、角氏は考えている。
「諸外国と比べると中古の割合が極端に少ない。米国だと全体の90%が中古。同じ先進国でありながら、日本では、ずっと新築を建てている。余っている家があるのに、隣に新しい家を建てている。コンビニの廃棄問題のように感じる」(角氏)
日本は人口減少に転じており、各地で空き家が増えていることが社会問題にもなっている。自治体は空き家対策に取り組み始めているが、根本的には中古不動産の売買が少なく、新築偏重になっていることが課題だ。
状況の変化に、不動産業界としてどう対応していくか。欧米では不動産テックが盛り上がりITを活用したディスラプトが進んでいるが、国内では旧来の慣習が続いたまま。すむたすでは、利益率を業界標準の半分とし、購入から売却までの期間を業界標準である190日の半分とすることを目指しているという。これまでの再販物件では、10件に1件が赤字での販売だ。
すむたすでは、今後買取対象を一戸建て住宅や土地にも広げていきたいとしている。「買取価格査定のAIのプロトタイプを作り、タイミングを検討している」と角氏。日本の不動産市場にくさびを打ち込むことができるかが注目される。
関連記事
- GAFAの不動産テック版「ZORC」とは何か?
ユニコーン企業が続々誕生しているのが米不動産テック業界。GAFAになぞらえ、業界上位のZillow、Opendoor、Redfin、Compassを合わせて「ZORC」と呼ばれている。ZORCとは何か。そして、ソフトバンクを後ろ盾に日本上陸はあるのか? - 「3000万円で売り出す?」「2600万円で即現金?」 中古マンションの新手法
中古マンションの売却を不動産会社に相談しても、いつ売れるのかいくらで売れるのかは不透明だ。もし現金ですぐに買い取ってもらうならいくらになるのか? そんな情報を、すむたすが不動産仲介会社へ提供を開始した。 - マンション売却を1時間で査定、2日で入金 AIで“高速不動産取引”が可能に
不動産売買には時間がかかるイメージがつきまとう。普通、半年から1年かかるという家の売却を、1時間で査定、2日で入金まで可能にするサービスが登場した。わずか5つの情報を入力するだけで、AIが買い取り価格を提示するのだという。 - 都心オフィスビル空室率は低水準 J-REITは07年以来の高値
オリンピックを控え、各地で再開発が進む東京。都心部へのオフィス供給が増加するなか、需要はそれを上回り、空室率は低水準。賃料も66カ月連続で上昇している。こうした背景の中、J-REITは2007年以来の高値を付けた。相対的に高い利回りも投資家の注目を集めている。 - サグラダファミリアは3000円、日本のお寺は400円 日本は安い旅行先なのか?
訪日外国人という”量”は増えているが、来日で支払った額は必ずしも増えていない。安い国ではなく、価値ある国になるためには、適切な価格設定によって売り上げ増を果たすことが重要だ。ホテル向けにAIを使って最適な料金設定を提示する空と、レベニューシェアで観光地向けのオーディオガイドを製作するON THE TRIPの例から。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.