がっかりだった自動運転バスが新たに示した“3つの答え”:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/5 ページ)
小田急電鉄などが手掛ける自動運転バスの2回目の実証実験が行われた。1年前の前回はがっかりしたが、今回は課題に対する現実的な解決策を提示してくれた。大きなポイントは3つ。「道路設備との連携」「遠隔操作」「車掌乗務」だ。
8月21日から30日まで、小田急電鉄、江ノ島電鉄、SBドライブ、先進モビリティの4社は江の島周辺の公道で、自動運転バスの実証実験を行った。初日の8月21日には報道向け試乗会・取材会が開かれた。江の島周辺公道の実証実験は2018年9月以来、2回目だ。
18年の実証実験を取材したとき、私はとてもガッカリした。自動運転という触れ込みでバスに乗ったら、ほとんど手動運転だった。横断歩道の発進、駐車車両の回避 交差点を曲がるときなど。自動運転は障害物のない江の島大橋区間程度で、先行する自転車を追い越す場合はやっぱり手動運転。その印象をそのまま記事に書いた。(関連記事:自動運転路線バス、試乗してがっかりした理由)
私自身が自動運転業界の深度を理解していなかったこともある。自動運転という言葉に対する期待の大きさが落胆の大きさになった。だからこそ一般市民も同じ感想ではなかったか。これを自動運転だといわれても未来が見えない。
完全自律運行の夢から現実解へシフト
今回の実証実験の最大の特徴は「道路設備との連携」「遠隔操作」「車掌乗務」だ。バスだけで解決するという考えから、インフラを組み合わせてバスを導くという考えに変わった。自動運転を完全な自律運行だと考えれば後退だけど、現実的な回答に近づいた。
道路設備側の対策は信号機との協調だ。信号機メーカーのコイト電工の協力を得て、信号機の状態をLTE回線経由で自動運転バスへ通知する。「現在は青、あと○秒で黄色」という情報を発信し、バス側はその情報と現在の速度状況から、スムーズな加減速を行う。また、2車線以上の交差点では、IHIが開発した3次元レーダーを設置してバスの死角を補う。
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