ファミマが“満腹需要”にロックオン! 健康志向が強まる中で、なぜ?:ガッツリ系を攻略(1/2 ページ)
ファミマがガッツリ系の弁当やラーメンを強化する。「がっつり」「大盛り」「にんにく」というキーワードが並ぶ。健康志向が強まる中で、どんな狙いがあるのか。
ファミリーマートは9月11日、2019年度下期に注力する商品開発コンセプトを発表した。「減塩」や「糖質オフ」といった健康分野を進化させる一方で、高カロリーでボリューミーな“ガッツリ系”も強化するという。どういった背景があるのだろうか。
「健康が大事」というけれど……
「(お客さまは)健康を意識しているが、一方で食べたいものを我慢したくないと考えている」――。ファミマの常務執行役員で、商品・物流・品質管理本部長の佐藤英成氏はこのように説明した。
同社の顧客調査では、商品購入時に重視される項目として「価格が安い」が1位、「食の安全・安心・健康」が2位となった。栄養のバランスやダイエットなどが念頭にあるが、節制を意識しすぎるあまり、ストレスを蓄積するケースもあると分析している。一方、お客のホンネである「潜在意識」に目を向けてみると、「食べたいものは我慢したくない」という声が多かった。ストレス発散や自分へのご褒美として、好きなものを好きなだけ食べたいというニーズに着目した。
実際、ガッツリ系の商品に対する需要は根強く存在する。ファミマは18年から「大盛ごはん 豚スタミナ丼」や「ロースとんかつ&海老フライ御膳」といったボリュームのある新商品を毎月投入してきた。いずれも発売初週には、売り上げ金額が全弁当カテゴリーの1位になっている。佐藤氏によれば、通常の弁当はごはんが200グラム程度だが、ガッツリ系の弁当はごはんが300グラム程度ある。これは、大手牛丼チェーンにおける牛丼大盛に匹敵するという。
麺を300グラム使ったラーメン
ファミマはこうした“満腹需要”に対応するため、ボリュームのある商品群を9月以降に投入する。例えば、「大盛にんにく醤油ラーメン」(税込550円、以下同)は、豚骨やニンニクがたっぷり入ったスープを使用しており、麺は300グラムある。また、「大盛りがっつりナポリタン」(498円)は、通常のものより太い2.2ミリのパスタを使用するだけでなく、肉系具材をたっぷり乗せている。「オール★スターサンド」(358円)は、人気のたまごやツナマヨといった4種類のサンドイッチを一度に味わえるのが特徴で、厚さが9センチある。
ボリュームのある弁当も引き続き投入する。9月は「大盛りごはん! コク旨豚丼(三元豚使用)」(498円)、10月は「3種のトリプル肉丼(540円)」、11月は「ビッグハンバーグ弁当(デミソース仕立て)」(540円)といった具合だ。
ファミマでは30代以上の顧客層が増えており、若者離れが課題となっている。ガッツリ系を強化することで、若者の“満腹需要”をつかめるか。
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