岐路に立たされた東京モーターショー:池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/4 ページ)
すでに海外メーカーからは完全にそっぽを向かれた東京モーターショー。主催団体である日本自動車工業会(自工会)は、前回にも増して厳しい危機感を持っている。しかし今回は、やり方がとてもトヨタっぽい。クルマ業界だけでなく「オールインダストリー」で広く開催し、未来のモビリティ社会に向けて「オープン」に進化/拡張していくと定義している。
海外メーカー離れの中で
TMSの主催団体である日本自動車工業会(自工会)は、前回にも増して厳しい危機感を持っている。「このままではTMSはなくなる」――自工会はそれを極めて恐れている。
すでに海外メーカーからは完全にそっぽを向かれ、日産と不可分のルノーを別にすれば実質出展する海外メーカーはメルセデス・ベンツ/smartだけだ。純粋なメーカーでないケースをカウントしても、アルピナが加わるだけというとても寂しいことになっている。
本質的には日本の自動車マーケットがあまりにも輸入車に対して排他的なことが理由だろう。世界の自動車先進国で自国ブランド製品が販売シェアの90%オーバーなどという国は、他に例を見ない。
要するに日本では外車が売れない。海外メーカーからすればつれない国だ。それでも何十年もTMSに付き合ってきたが、いまやそんな予算があるならクルマが売れる新興国に回したいというのが本音だろう。
ただし、そういう実利以外にも、ある種の流行りというか、日本のショーをパスすることがちょっとブームのようになっている部分もある。例えばランボルギーニにとって日本は、台数ベース、金額ベース、シェアベースとどんなカウント方法でもトップ3に入る超重要マーケットだ。であるにも関わらず日本をパスするのである。こういう状態を何とか逆転しないと未来がないことに、すでに自工会は気づいている。
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