派遣社員として働く理由、最多は「正社員として就職できなかったから」 一方で正社員希望はおよそ3割:マイナビ調査
マイナビが「派遣社員の意識・就労実態調査」を発表。20〜59歳の男女1431人を対象に6月に調査したもの。多くの人が正社員として就職できなかったために派遣労働者として働いている現状が浮き彫りに。また、正社員を希望する人のうちおよそ7割が雇用の安定や賞与の支給を求めていることが分かった。
マイナビ(東京都千代田区)は9月19日、「派遣社員の意識・就労実態調査」を発表した。派遣社員として、オフィスワーク・事務、販売、製造などの職種で働く男女20〜59歳1431人を対象として行ったもの。調査期間は6月21日〜24日。
調査によると、「派遣社員を選んだ理由」で最も多かった回答は「正社員として就職できなかったから」で20.9%だった。回答を男女別に見ると、男性は31.8%で、同設問の中で最多の回答となった。一方、女性は14.1%だった。
女性が同設問に対して最も多く回答したのは「働く日数・時間を自分で選べるから」で17.1%だった。「働く期間を自分で選べるから」という回答についても、男性が2.6%に対し女性は5.1%。男性を2倍近く上回っており、女性は「仕事の柔軟性」を重視している傾向がある。
「賃金が高いから」と答えた人を男女別で見ると、男性が4.0%に対し女性が12.7%だった。実際に、派遣労働者は性別による収入格差が小さい傾向にある。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、2017年における一般労働者の平均賃金は、男性が335.5千円で女性は246.1千円。男性を100%とすると女性は73.4%となる。一方、同省発表の「平成29年派遣労働者実態調査の概況」では、時給換算額で男性が1435円、女性が1294円。男性を100%とすると女性は90.2%となる。
「今後どの雇用形態で働きたいか」という設問でも性差が出た。「正社員」と回答したのは全体のうち31.4%。男性が38.4%に対し女性は27.0%だった。また、登録型、常用型を問わず「派遣社員」と回答したのは男性が30.9%で女性は40.8%。同設問に対し、「正社員」という回答が最も多かった職種は「機械・電気・IT技術・通信系」で40.6%だった。
今後正社員として働きたいと答えた人に「正社員として働きたい理由」を聞いたところ、「雇用が安定しているから」「賞与が欲しいから」が同率首位で73.7%。多くの派遣労働者が、「やりがい」や「キャリアアップ」よりも雇用や収入の安定性を望んでいることが分かった。
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