新登場の“あんぱん“はサブウェイを救う? 苦戦が続く原因から読み解く:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)
サブウェイがあんこを挟んだサンドイッチで巻き返しを狙う。日本市場で苦戦している背景にはコンビニや外食チェーンの“野菜強化”がある。じわじわ増えているサラダボウル専門店も新たな脅威になりそうだ。
じわじわ増えるサラダボウル専門店
都心部では、サラダを主食として食べるサラダボウル専門店がじわじわと伸びて、意識の高いビジネスパーソンの支持を広げている。これは、ニューヨークなど米国で流行しているものだ。
「グリーン・ブラザーズ」(5店)、「クリスプ・サラダワークス」(11店)、「サラダストップ」(4店)などといった店舗群である。
グリーン・ブラザーズは焼肉チェーン「大阪焼肉・ホルモン ふたご」のFTG Company(東京都目黒区)が経営。「ふたご」はニューヨークに進出しているが、現地でサラダボウル専門店が流行していることにオーナーが気付き、日本でニューヨークテイストの業態を開発。16年から展開している。
これらの店は、店頭にサラダバーが並んでいる。店員が注文を受けてからあらかじめ刻んでいる食材を混ぜてサラダをつくるので、サブウェイに似た面もある。しかし、サラダボウル専門店は具材の種類が圧倒的に豊富で、いろいろ選べるので、バリエーションに富んだ野菜が楽しめる良さがある。
サブウェイの場合、野菜はレタス、トマト、ピーマン、オニオンの4種類だけ。アクセントを合わせても、ニンジン、オリーブ、ピクルス、ホットペッパーが加わって8種類あるだけだ。ドレッシングは9種類。
ところが、グリーン・ブラザーズの場合は、ベースの野菜をホウレンソウなど4種類から2つ選び、トッピングの野菜をトマトやオクラなど18種類から4つ選ぶ方式。このトッピングの中に、キヌア&ワイルドライスも含まれており、炭水化物もトッピングの一種ということになる。
それらに合わせるドレッシングが15種類、スープが4種類提案されている。希望者はパン1切れを付けられる。また、季節感が漂う、果物・肉・魚などが入ったプリフィックスのメニューもある。専門店によってやり方は若干異なるが、だいたい1000〜1700円くらいで楽しめることになる。
サラダボウル専門店の値段は高いが、その分野菜やドレッシングの品質が高く、ドレッシングも軽く和える程度に抑えられていて、野菜本来の味にフォーカスされている。
こういう店を体験してしまうと、サブウェイの野菜が画一的で面白みがなく見えてきてしまう。
つまり、売りであるところの野菜の魅力不足と、パンに機能性が欠けてしまっている。こういった点が、今風でない、時代とズレていると感じられるのである。
果たして、コッペパン専門店にインスパイアされたあんこなどを挟んだ菓子パンが、サブウェイを救えるのか。筆者には、焦点が合ってないように思えるのだ。
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