リンガーハットの顧客満足度はなぜ3年連続1位? ちゃんぽんで“ひとり勝ち”のビジネスモデル:新連載・飲食店を科学する(1/4 ページ)
リンガーハットが3年連続顧客満足度1位となっている。独自のビジネスモデルとも密接に関係している。ちゃんぽん分野でライバル不在の理由とは?
【新連載】飲食店を科学する:
立地、メニュー数、原価率、回転率、利益率――飲食店の経営には、数字やロジックを積み上げて戦略を練る作業が欠かせない。人気になっているチェーン店や、すっかり定着しているが業態の裏側にあるノウハウを分析していく。
皆さまこんにちは。飲食店コンサルティング会社スリーウェルマネジメント代表の三ツ井創太郎です。今回から、皆さまが日頃なんとなく利用したり、見たりしている飲食店のビジネスモデルやマーケティング戦略に関して、分かりやすく解説していく記事を連載させて頂きます。よろしくお願い致します。
3年連続で顧客満足度1位を獲得
第1回のテーマは「リンガーハットが顧客満足度で3年連続1位の理由」です。長崎ちゃんぽん専門店でおなじみの「リンガーハット」の戦略を取り上げます。同チェーンを運営する「株式会社リンガーハット」は、売上高469億円、営業利益23億円の大企業です(2019年2月期)。
業績が好調なのもさることながら、リンガーハットのさらに注目すべき点は日本生産性本部 サービス産業生産性協議会が実施している日本最大級の顧客満足度調査(飲食チェーン部門)において、3年連続で1位を獲得している点です。
JCSI(日本版顧客満足度指数)の結果は次のようになっています。
多くのチェーン店がある中で、なぜリンガーハットが3年連続で1位に輝いているのか? 今回はその理由について研究していきます。
「安心・安全」に注力する戦略的な理由
リンガーハットの大きな特徴として「安心・安全」の取り組みを強化している点が挙げられます。メニューや公式Webサイトなどで大きく「国産化」「保存料・合成着色料不使用」「契約農家」を掲げています。例えば、野菜や麺・ギョーザに使用する小麦粉は100%国産となっています。野菜に関しては、契約農家と連携し、農薬や化学肥料を減らした契約栽培を行っています。公式Webサイトを確認すると「今月のキャベツ農家」として、契約農家さんが紹介されています。
では、なぜリンガーハットはここまで安心・安全への取り組みを進めているのか? そのヒントがリンガーハットの出店戦略に隠されています。14〜19年における出店形態別の店舗増減数を見ていきます。
関連記事
- 家賃が200万円もするのにスタバがもうかる理由
スタバは大都市の一等地に多くの店舗を構えている。1杯数百円のコーヒーを販売しており、店に長居するお客も多い。家賃が200万円以上するような場所でも利益が出せる秘密とは? - ちょっと前までチヤホヤされていた「いきなり!ステーキ」が、減速した理由
ブームの牽引役などとチヤホヤされていた「いきなり!ステーキ」が叩かれている。2018年12月決算は、8年ぶりに赤字。低迷の原因として、米国での閉店や類似店舗の増加などが指摘されているが、筆者の窪田氏は違う見方をしている。それは……。 - 「どさん子ラーメン」は今…… 急成長から衰退までの経緯と復活のシナリオに迫る
札幌みそラーメンの“伝道師”として急成長した「どさん子ラーメン」。かつては1000店以上を展開していたが、マネされるのも早かった。“衰退”したと思われている一方で、復活に向けた動きもある。 - 「大阪王将」に後れを取っていた「餃子の王将」の業績が復活したワケ
「餃子の王将」を運営する王将フードサービスが復活しつつある。女性向けの新業態店や安価で量を減らしたメニュー開発が奏功したが、本質的な理由はほかにもあるという。どのような戦略を打ち出しているのだろうか。 - スシローの進化についていけなかったかっぱ寿司
かつて業界をリードする立場だったかっぱ寿司が、競合他社に次々と追い抜かれている。逆転を許してしまった背景にはいったい何があるのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.