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村上世彰が「金融教育」に取り組む狙い村上世彰のN高特別授業【前編】(3/4 ページ)

会社の研修の一環として「金融教育」を導入する企業が増えている。社員一人ひとりがお金の知識を付け、家計を安定させ、仕事に集中できる環境を作ることが経営課題にもなっている。そんな中、村上世彰氏は自ら金融教育にかかわり、N高投資部での講義に取り組んでいる。村上氏が高校生に金融教育をする背景、若い時からお金と向き合う意義に迫るとともに授業の内容もお届けする。

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失敗から学び「賢くなる」

――株の勉強なんかは本でやるべきでしょうか。

 これもいい質問だね。やるべきかどうかは別にして、本は読んでみてください。いろんな本が出ています。一番重要なのは今回の1年間は考える期間だということです。この期間の中でみんながどう反応して何ができるかを学んでください。1年後、株から足を洗うのも一つの手です。ただ、株をする上で基礎知識は必要なので、本はぜひ読んでみてください。

 僕自身は小さなころから投資をやっていたし、父を見たり、経験の中で自分で勉強をしてきたので、ほとんどそういう本を読んだことはないです。ただ、四季報だけは小さい頃からむちゃくちゃ読みました。今はネットでも見られるので、それを見ながら「なるほどな」って、投資先や候補の会社を勉強してほしいですね。一つの銘柄の説明が最もコンパクトにまとまっているのが四季報だと思います。ぜひ見てみてください。

――自分は投資する上で、感情はあまり出さないほうがいいと思うんですけど、どこまで感情を出してトレードしてもいいのですか。

 全く関係ないと思います。そもそも感情っていうものを、どういうふうに理解していますか?

――冷静な判断が大事だと思っているので、アツくなったら負けだと思っているんですけど、アツくなっても平気なものなんですか。

 株以外のビットコインとかFXとかはやったことある?

――FXはやろうと思ったんですけど、まだないです。

 ビットコインはない?

――はい。

 株はアツくなっても構いません。ただ、信用(取引)は注意が必要です。信用取引とは、簡単に言えば、自己資金に追加して証券会社からお金を借りて、株の売買をすることです。株の動きによって、自己資金以上に損を出すことがあるから、気を付けなければいけません。

 でも、株を買う場合には、例えば、信用で1000円のものを100株買うと10万円だけど、その株が0円になっても、損は10万円で済みます。アツくなって一番失敗するのはショート、いわゆる「空売り」といわれるものです。ここから絶対に株が下がると思って、100株を1000円で空売りしたとしましょう。そこで、株価がどんどん上がっていっちゃったとする。その時にアツくなってしまって「絶対こんな会社価値ないよっ」とそのままやっていると、株価に上限がないので、損はどこまでも膨らんでいきます。

 でも今回は、せっかくリスクのない20万円なので、むしろアツくなってほしいです。そもそも皆さんは未成年なので、信用取引も空売りもできないはずですから、先ほど言った通り、1年間アツくなって失敗したところで、元本がゼロになるだけです。僕が大事だと思うのは、失敗してもその失敗から学んでもらい、皆さんに賢くなってもらうことです。

phot

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