セブン「1000店閉店、移転」はドミナント戦略の限界か:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
セブン-イレブンが2019年下期以降、1000店舗を閉店・移転すると発表した。街中にコンビニがあふれているので、「そりゃあそうだろう。ちょっと減らしたほうがいいよ」と思われたもしれないが、筆者の窪田氏は違う見方をしている。それは……。
組織やビジネスモデルの危機
今のようにセブンに大逆風が吹くちょっと前の昨年秋、近隣住民から「変態セブン」なんて陰口を叩かれるほど、客にハレンチな言動を繰り返すセブンオーナーが問題になったことがある。その際、筆者は『“変態セブン”が生まれた背景に、地獄のドミナント戦略』という記事を書いた。
実は変態セブンの店は、近隣にローソンやファミマという競合だけではなく、セブンまでもが続々と出店してきて、急速に事業環境が苦しいものになっていた。だからといってハレンチな言動が許されるわけがないが、このオーナーが正気を失ったのは、ドミナント戦略によって心身が追いつめられた可能性もあるのではないか、と指摘させていただいたのである。
もちろん、コンビニ業界の専門家センセイたちからは大ブーイングで、「バカなオーナー個人犯罪をセブン本部のせいにするな!」とか「セブンの高品質、高サービスを維持するためには、そんな簡単にドミナント戦略から撤退できるわけないだろ、この素人め!」と散々な叩かれようだったが、これからほどなくして大騒ぎになった24時間営業問題でも、多くのオーナーがドミナント戦略で、周囲にセブンが増えて追いつめられている、と口々に訴えているのはご存じのとおりだ。
そんな中でドミナントについて、もうひとつ以下のように指摘させていただいた。
「組織やビジネスモデルの危機は、現場の壊れっぷりから分かるものなのだ」
筆者は報道対策アドバイザーという仕事柄、「問題企業」を間近で見る機会が多くあるのだが、そこで気付いたのは、クライシスが発生する企業というのは往々にして、現場にまずその前兆があらわれるということだ。例えば、現場からメディアや監督官庁に内部告発がバンバン寄せられるなんて企業は、遅かれ早かれ日産のように経営者のクビが飛ぶような事態になるものなのだ。
この法則に残念ながらセブンも当てはまってしまっている、ということで先ほどのような指摘となったのである。
事実、「変態セブン」だけではなく近年のセブンの現場は、正気を失っているとしか思えぬ不祥事が多発している。例えば、オーナーの息子が、「おにぎり、あたためますか」と尋ねた客が「うん」と回答しただけでいきなりキレて説教を始めるなんてこともあった。また、遅刻した者に1分100円、欠勤した者には1万円の罰金を課す、という半グレ臭の漂うマネジメントをする店舗も注目を集めた。そこに加えて、24時間営業問題、セブンペイ、などなど現場発のトラブルが続発している。
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