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「不景気だとカラムーチョが売れる!?」――知られざるナゾの法則に迫る偶然か、消費心理のメカニズムか(2/4 ページ)

湖池屋の独自データで、不景気時にカラムーチョが売れる傾向にあることが判明。消費のメカニズムか単なる偶然か、追った。

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「ストレスで刺激求める」「家飲み需要増」仮説

 1つ目は、「不景気の際には消費者がストレスを感じるので、刺激物を求める」という説だ。マーケティング部第1課課長の加藤俊輔さんは「辛味は味覚というより『痛覚』の一種のようなもの。かゆみを感じた人が(局部をかいて)別の痛みでごまかすように、ストレスを感じた人はそれを緩和させるため、刺激のある食べ物で痛覚を『上乗せ』させるのではないか」と説く。

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「カラムーチョと景気の法則」を唱える湖池屋マーケティング部の加藤俊輔さん(右)と小林重文さん

 加藤さんによると、カラムーチョが発売された1984年は「第一次激辛ブーム」の時期に当たる。86年には「激辛」という言葉が日本新語・流行語大賞にも選ばれた。同商品は、「からさをコンセプトにしたスナック菓子」のはしりとしてトレンドとなり、消費者に浸透していった。同時期に急拡大したコンビニで取り上げられた点が大きかったが、「不景気で消費者が感じるストレス」も一役買っている可能性があるという。

 加藤さんら湖池屋のマーケッターたちが法則の理由としてもう1つ挙げるのが、「不景気の際には消費者が外食を控えて家飲みが流行るため、カラムーチョがおつまみに選ばれている」説だ。実際、カラムーチョのメーンユーザーはほぼ一貫して20〜30代で、お酒と一緒に食べている人も多いとみられる。

 飲料業界でも、体感景気が悪化するとアルコール度数が高めで安く酔える「高アルコール飲料」が売れるというのは、よく知られた話だ。スナック業界においても、味がからく濃厚でおつまみとしても「コスパ」高めと言えるカラムーチョが売れるのは、確かに理屈に合っていると言えなくもない。

根拠のない「アノマリー」か?

 ただ、こうした「不景気の時には〇〇が売れる・起きる」説には反論も少なくない。例えば、冒頭に挙げた「タピオカがブームになると景気が後退する」説には、識者から「偶然が起こした『アノマリー』ではないか」という指摘が寄せられている。

 アノマリーとは、投資の世界でささやかれている、株や景気動向に関する一種の法則の通称だ。「節分には株価が高値に、お彼岸には底値に」などが古典的なアノマリーに当たる。根拠はよく分からないものの経験則として信じられている物もあれば、単なる都市伝説とみられているケースも少なくない。

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