「焼肉ポリス」がお客にダメ出し!? 安楽亭と牛角を脅かす「焼肉きんぐ」の戦略に迫る:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)
大手焼き肉チェーンの「焼肉きんぐ」が快進撃を続けている。サービスの要となるのは「焼肉ポリス」の存在だ。豊富なメニュー開発力も強さを支える。
焼肉ポリスが接客
焼肉きんぐではサービス向上の一環として、ホールスタッフが「焼肉ポリス」となって店内を巡回し、顧客がおしゃべりに夢中になって肉を焼き過ぎていないかどうか、席を見回るサービスを始めている。
焼肉ポリスは、肉の片面が焼けていたら裏返したり、トングの持ち方がおかしかったら直したりといったように、さまざまなおせっかいを焼く。そうすることで顧客とのコミュニケーションをとるだけでなく、セルフで最終調理する焼き肉の味のブレを修正する役割を果たす。せっかくお金を払って焼き肉を食べに来たからには、最高の焼き加減で食べてほしいのが、お店の願いだ。
肉厚の4大名物などは、通常の焼き肉で提供されるような薄い肉と異なるので、焼き方に戸惑う人もいる。そこで、焼肉ポリスが席まで運んだあとそのまま焼いてあげるケースもある。
ネギ塩タンも焼き方に工夫が要るメニューだ。まず肉を裏返して、スパイスがかかっている上面を焼く。肉汁が出てきたらひっくり返してもう片面も焼き、箸でネギ塩をひとつまみ乗せる。さらに、箸で包み込むように肉をつまんで、レモンダレに付けて食べる。
このように、焼肉ポリスが1つ1つのメニューについて解説しながら焼いてくれるので、焼肉きんぐに来れば顧客のうんちくが増える。家族で焼肉きんぐに来て教わった焼き方を、接待の時に披露してたいへん喜ばれたケースもあるそうだ。
焼肉ポリスには資格もマニュアルもなく、ホール係が順番に担当する。店員にとっては接客の創意工夫が試せる場でもある。
物語コーポレーションでは、全国のパート・アルバイトを対象として、接客やおせっかいの質を審査する「おせっかいパートナーズコンテスト」を毎年夏に開催している。「おせっかい」は同社のコンセプトでもあるのだ。
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