「インスタ経験なし・50坪」から始まったうんこミュージアムが海を渡るまで:仕掛け人4人はインスタ利用経験なし(5/5 ページ)
横浜で産声を上げたうんこミュージアムが、ついに海を渡った。2019年3月、横浜市にオープンしたうんこミュージアム。当初は7月までの期間限定だったが、好評を受けて会期を9月末まで延長した。公式発表によると、来場者数は30万人を突破。8月には「MAXうんこカワイイ」を掲げお台場に進出し、10月には中国、上海でもオープン。20年1月までの期間限定で展開している。快進撃を続けるうんこミュージアムは、どのように練り上げられたのか。仕掛け人に取材した。
なぜうんこは面白いのか
うんこミュージアムの人気には、スタッフも一役買っている。「空間を作るのは僕たちの仕事だが、あの空間の『熱狂』をつくり上げているのは間違いなくスタッフ」と話すのはカヤックの香田氏だ。
100人ほどのスタッフは女性がほとんど。ボトムアップで特異な空間をつくり上げている。うんこミュージアムTOKYOで、中央に存在する「うんこ・ボルケーノ」が一定時間ごとに噴火したときにスタッフ主導で巻き起こる「うんこのシュプレヒコール」も、運営側から指示したのではなく、スタッフが自律的に行ったことだというから驚きだ。辞める人も少なく、定着率もかなり高いという。
来場者だけでなくスタッフもとりこにするうんこ。なぜここまで面白いのか。うんこのデザインなどを主に手掛けたカヤックの白井章平氏は「うんこは普段あまり口に出されないし、隠されている。こうした『タブー』を破るところに面白みがあるのでは」と考えている。ALEの小林氏は「もうこれ以上分解できないような面白さがある。例えば『甘い』という感覚は『甘い』という以外に表現できない。うんこに関する『恥ずかしい』とか『汚い』という要素を抜きにしてゼロベースで考えても、やっぱりうんこは面白い」と話す。
今後についてはどう考えているのか。カヤックの阿部氏は「現行のうんこミュージアムは、場内を歩いて回る形になっている。ゆくゆくは『ライド型』で、うんこに乗って場内を回り楽しめるようにしたい」と話し、ディズニーランドと並び、世界中に知られるようなアミューズメント施設を作り上げる“野心”ものぞかせた。また、アミューズメント事業だけでなく飲食事業なども幅広く展開し、「うんこ経済圏」ともいえるような1つの経済圏を作ることも目標に掲げている。
「どこまで世界にうんこが発展していくのか試してみたい。例えば欧州で展開したらどうなるのだろうか。もし機会があれば、各地のコンテンツもミックスしながらテストしていきたい」(カヤックの白井氏)というように、今後は全世界規模での展開も視野に入れている。ひとまず日本海を渡ったうんこは、大陸や太平洋を超えて世界をとりこにしていくのだろうか。今後にも注目したい。
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