学校の闇とコンプライアンス意識 ハラスメントは光を嫌う原則(1/2 ページ)
神戸市で起きた教員間いじめ問題について、現校長の謝罪会見に続き、暴行事件当時の責任者である前校長もインタビューで「知らなかった」との釈明を行った。学校業界のコンプライアンス意識欠如を如実にさらけ出している。
著者プロフィール:増沢隆太(ますざわ・りゅうた)
株式会社RMロンドンパートナーズ代表取締役。キャリアとコミュニケーションの専門家として、芸能人や政治家の謝罪会見などをコミュニケーションや危機管理の視点で、テレビ、ラジオ、新聞等において解説している。大学や企業でのキャリア開発やコミュニケーション講座を全国で展開中。著書「謝罪の作法」他多数。
神戸市で起きた教員間いじめ問題について、現校長の謝罪会見に続き、暴行事件当時の責任者である前校長もインタビューで「(暴行事件の存在を)知らなかった」との釈明を行った。暴行犯である当事者や、その管理責任を一義的に負うはずの校長連中の逃げの一手、教育委員会の要を得ない説明は、学校業界のコンプライアンス意識欠如を如実にさらけ出している。
「いじめ」と称する暴行を黙認した責任
民間企業や官公庁等でもハラスメント研修やコンプライアンス研修が多数開かれるようになった。筆者も幹部層から現場担当者まで、広く階層別、業界別のハラスメント対策や研修に関わる過程で、危機意識こそ最も重要であると実感している。危機意識のない、当事者感覚が欠如する組織はハラスメントリスクの塊であり、実際に神戸市立東須磨小学校のようなコンプライアンスという存在すら認識できていない場所で事件は起こってしまった。
学校業界だけは治外法権が認められているのだろうか? 刑法に違反する行為であっても、「いじめ」とさえ名付ければ警察にも引き渡されないことも少なくないようだが、東須磨小教師への集団暴行は、当初の教育委員会による発表だけでもその異様な実態が目を引くものだった。その後犯行動画が公開されたことでテレビニュースにもなり、批判は増すばかり。
涙ながらに謝罪した校長だが、同情の声はほぼ聞こえることはなく、批判は止む気配を見せていない。子供のいじめ問題でも、学校側は「知らなかった」「いじめと認識していなかった」などといった言い訳で弁解する姿はよく見かける。
ハラスメント研修でもしつこく説明しているが、ハラスメント事件において「知らなかった」「そこまで深刻と思わなかった」という管理者の言い訳は一切通用しない。過去の判例でも、管理者と組織責任は厳しく追及され、暴行当事者ではない組織そのものが賠償責任を負った例は多数ある。
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