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ホリエモンが語る「修業期間」を真っ先に捨てるべき、これだけの理由――職人ではなく「経営者」になれ:堀江貴文の『捨て本』【後編】(4/5 ページ)
本当にそれは必要ですか? 経営者としての「ホリエモン流」人生哲学。ビジネスにまつわる「捨てる」ことの意義を、3回に分けて紹介していく。後編は修業期間というものがいかに無意味かに加えて、経営者視点に立つことの重要性をお伝えする。
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独学で寿司職人になったAさん
もう少しだけ寿司の話をしたい。知り合いの経営者のAさんは、独学で寿司職人になった。Aさんはまさに「修業はいらない」を、地で行った人物だ。Aさんは音楽業界とのつながりがあり、プライベートで海外の大物ミュージシャンなどを招き、寿司屋で接待していた。
彼らが寿司をおいしく食べてくれるのはいいのだが、ミュージシャンたちはカウンターの向こうの大将の華麗な包丁さばきを「Great!」「Fantastic!」と褒めまくる。それが、全然面白くなかったという。「俺が苦労して予約して、高い金を払っているのに、俺には注目が集まらない」とのことだ。
そこで「ならば寿司屋になろう!」と決めたそうだ。もちろん寿司屋の経験はゼロ。
Aさんは、いい寿司をつくるためには、まな板が大事だと考え、日本一のまな板を探す旅に出た。やがて日本に2本しかないという貴重な材木でつくった、最高級のまな板を手に入れた。次に探したのは包丁。知り合いから情報を得て、玉鋼で製造した特別製の包丁を見つけてきた。
寿司さばきは、どこの店にも入らず、全て独学で練習した。寿司アカデミーに行くという選択もあったのだが、「そこに通って寿司職人の腕を磨いたら、アカデミーの手柄になるから嫌だ」と、断念。ある意味、徹底している。ネタの仕入れも、自分で卸し市場に通い詰め、高級寿司店に負けないレベルのネタのルートを確保した。
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