自宅で本格的な料理を「もぐもぐ」 米国でAIを活用した「食」が進む:食の未来(2/4 ページ)
外食産業や食関連ビジネスで、AI(人工知能)の導入が進んでいる。AIを活用して、どんな商品を開発しているのか。米国の事情を調べたところ……。
自宅で本格的なグリル料理が完成
そこで、AIによる分析を活用することで、開発プロセスのスピードアップにつながっている。もちろんAIだけでの商品開発には限界があるため、研究員による最終チェックは必要となる。
AIによって提案された新たなスパイスの調合を、実際に食べておいしいのかどうか研究員が確認したり、試食テストなどのフィードバックを反映させたりして開発を進めている。
そのAIと人によるコラボレーションで生まれたマコーミックの新商品が、「バーボンポーク・テンダーロイン」と「ニューオリンズ・ソーセージミックス」などの調味料だ。これらのシーズニングミックスを肉にまぶして調理すれば、自宅で本格的なグリル料理が完成する。
現代人が求める、ヘルシーで自然な素材を使用しつつ、今までにない風味豊かなスパイスの組み合わせが特徴になっている。今まで考えつかなかったスパイスの組み合わせやフレーバーを導き出したAIとのコラボレーションは効果的なようだ。
すでに数年前から、AIを活用して新商品の開発を行っている、ペプシコの子会社でスナック菓子メーカーのFrito-lay(フリトレー)もAIの導入に重要性を感じている企業のひとつだ。
フリトレーは、豪州のポテトチップスブランド「Red Rock Deli」で、AIを活用した「Champagne Vinaigrette & Shallot(シャンパン・ビネガー&エシャロット)」や「Red Curry Coconut(レッドカレー・ココナッツ)」といったユニークな新商品を開発している。
同社が行っている消費者への調査では、米国人の多くがフレーバーに対して、より多様性を求めるようになっているという。そのため、新商品の多くが世界中の食文化からインスパイアされたフレーバーになっているのが分かる。
また、AIを活用して特定のフレーバーを好むニッチなマーケットを探し当て、ピンポイントで商品を流通させるといった試みも行っている。その一例として、米国の東海岸では定番の味が好まれているが、ある一部地域だけスパイシーなフレーバーが人気だと分かると、激辛味が売りの商品を手配するなど臨機応変に対応している。
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