飲み食い放題で「上限3000円」の「定楽屋」が増殖中 料理や接客で“手抜き”してないのにもうかるのか?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/5 ページ)
飲み放題・食い放題で上限3000円(税抜)の「定楽屋」が増殖している。サービスを削らず調理に手間暇をかけてリピーターを獲得している。1人当たり3000円でもうかっているのか?
食べ放題・飲み放題のお店でたらふく飲み食いした後に「本当に元が取れているだろうか?」――この疑念を誰もが抱くはずだ。
しかし、例えば3000円を上限として設定し、それ以上の料金を取らない飲食店があったらどうだろう。おなかをすかせて爆食すれば、コスト計算に長けたお店にひと泡吹かせられそうではないか?
そうした顧客がきちんと元を取るのも可能な「3000円(税抜)を超えた分のお会計は頂きません!」という居酒屋が全国的に増殖しつある。その名も「定楽屋(ていがくや)」という店だ。
定楽屋の店の入口には、名物の長いレシートが何枚も貼ってある。1人当たり5000円、6000円、場合によってはそれ以上飲食しても、本当に1人当たりの会計が3000円になっていることが分かる。
1号店は2018年2月、愛媛県松山市にオープン。翌3月には、名古屋市と熊本市に2号店と3号店を矢継ぎ早に出店した。1号店の反響が思ったより大きかったため、迅速な出店となった。その後も着々と店舗を増やし、福岡市、鹿児島市、札幌市、京都市など、全国主要都市に早くも12店を展開している(11月11日時点)。
そのうち3店がFC(フランチャイズ)の店舗となっており、今後はFC強化も視野に入れて拡大していく方針だ。家賃の高さがネックになっているせいか、首都圏には残念ながらまだ店舗がない。しかし、金山のような名古屋でも有数の繁華街で、チェーンでトップレベルの売り上げを誇る店舗が成立しているので、そう遠くない将来には出店してくるだろう。
果たして、上限が3000円の居酒屋というユニークなビジネスモデルは、持続可能なのだろうか。検証してみたい。
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