飲み食い放題で「上限3000円」の「定楽屋」が増殖中 料理や接客で“手抜き”してないのにもうかるのか?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)
飲み放題・食い放題で上限3000円(税抜)の「定楽屋」が増殖している。サービスを削らず調理に手間暇をかけてリピーターを獲得している。1人当たり3000円でもうかっているのか?
お通し代や席料は取らない
10月の消費増税後の飲食店(特に居酒屋業界)では、30分飲み放題299円(「やきとり○金(まるきん)」など)、ハイボール1杯50円(「それゆけ!鶏ヤロー!」など)のように、お酒の値段をリミットまで下げて、集客を図る傾向が強まっている。
これらは、コストを抑えてはしご酒をしようとする人にとっては良い。しかし、じっくりと腰を据えて、テーブルに並べきれないほどの料理を眺めつつ、豪遊気分(もしくは多幸感)を味わうには、もっと別のシステムが待望されていた。
そこで考案されたのが、定楽屋による、上限3000円のビジネスモデルである。時間制限は2時間となっており、1人当たり500円で30分の延長が可能。全体の2割ほどの顧客が延長する。
定楽屋では3000円まではしっかりと通常の料金を取る。その意味で、全く普通の居酒屋だ。しかも、お得なことに、お通し代や席料を取らない。
ところが顧客の会計が3000円を超えると、テーブルバイキングへと切り替わり、それ以上いくら飲み食いしても3000円以上(消費税を除く)取られることはない。つまり、3300円の食べ放題となるのだ。
ただし、食べ残しや飲み残しがあった場合には、“定額中”であっても正規の料金を請求されるので、注意が必要。食品ロスを極力出さない「もったいない精神」が貫かれたシステムでもある。
このビジネスモデルは、携帯電話のパケットシステムと似ている。一定の金額以下ならばかかった分だけの値段にすればよく、顧客から見ると「分かりやすくて親切」という考え方が根底にある。
しかし、飲み代に3000円も出せない場合もあるだろう。そういう顧客には“午後8時以降、飲み放題上限1000円”という飲み放題に特化したプランもある。フードは別途、通常料金で注文する。2軒目、3軒目として、もしくは1軒目に行く前に軽く飲む「0次会」でこのプランを活用する人も多い。
また、“午後8時以降、飲み放題付き2000円、料理4品食べ放題”というコースもある。これは結婚式の2次会などを想定。飲み放題にプラスして、枝豆または塩ダレキャベツ、自家製から揚げ、ポテト(味4種類)が食べ放題で、1人1個ずつ雪見大福が提供される。
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