飲み食い放題で「上限3000円」の「定楽屋」が増殖中 料理や接客で“手抜き”してないのにもうかるのか?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)
飲み放題・食い放題で上限3000円(税抜)の「定楽屋」が増殖している。サービスを削らず調理に手間暇をかけてリピーターを獲得している。1人当たり3000円でもうかっているのか?
ほとんどのお客は5000〜6000円分食べている
「8〜9割以上のお客さまが3000円分を超えてご飲食いただいています。平均して1人当たり5000〜6000円分くらいはご飲食されますから、実質半額というケースが多いです」と語るのは、運営会社「Style(スタイル)」定楽屋ブランド統括マネージャー 第一事業部店舗責任者の前田真実氏。
スタイルは、京都市中京区に本社がある資本金1000万円の飲食ベンチャーで、2015年に設立された。全国に50店ほどを展開して急成長中の企業である。同社は、宇治茶を使った創作和食「煎右衛門」を京都駅前に創業して以来、多くの業態を展開するが、ヒットした定楽屋は最大の店舗数を持つ主力業態となっている。
前田氏によれば「たいていのお客さまはお腹を空かして来店されます。中には1人で1万2000円分ほども飲み食いをしていく方もいらっしゃいます」とのこと。定楽屋に行く日には気合を入れて、朝食や昼食を抜いてお腹をペコペコにして、元を取りに来ようとする顧客が珍しくないそうだ。
採算面を聞いてみると「正直、ギリギリ。厳しいです(笑)。でも、普通の食べ放題よりも質を良くしてお客さまにご満足していただけるように、努力しています」(前田氏)と薄利多売の様相。
定楽屋では、顧客は5000円分くらいの飲食をしているようだ。一方、たまに3000円以下、ごくたまには1万円分以上の飲食をする人もいるとのこと。そこでどう採算を合わせるか。
1ついえることは、店舗の改装にはお金をかけていない。訪問した名古屋金山店は大手チェーン店の跡に、ほぼそのまま居抜きで入っていた。
これまでの店舗では、平均して80〜90人分の席数であったが、最新店となる10月1日にオープンした西鉄久留米駅前店(福岡県久留米市)は180席。通常の2倍の広さを有している。
名古屋金山店は、連日2回転近くするほど盛況とのこと。夜が早く、1回転すれば繁盛店とされる名古屋の居酒屋事情を考えれば、集客は好調だ。高い集客力を背景としての大箱への挑戦である。
また、6割の顧客がリピーターとなっており、料理・接客を含めた顧客満足度の高さがうかがえる。顧客層は20〜60代と幅広いが、立地によって異なる。名古屋金山店ではオフィス街に近いこともあり、40〜60代が多い。一方、天神大名店(福岡市)など九州の店舗は20〜30代が主流という。
関連記事
- 「ハイボール 1杯50円」で、どうやって儲けているのか 鶏ヤローのカラクリ
首都圏の繁華街を歩いていると、「角ハイボール 50円」と書かれた看板を目にするようになった。激安の雰囲気が漂うこの店は、どのような特徴があるのか。運営会社の社長さんに話を聞いたところ……。 - ちょっと前までチヤホヤされていた「いきなり!ステーキ」が、減速した理由
ブームの牽引役などとチヤホヤされていた「いきなり!ステーキ」が叩かれている。2018年12月決算は、8年ぶりに赤字。低迷の原因として、米国での閉店や類似店舗の増加などが指摘されているが、筆者の窪田氏は違う見方をしている。それは……。 - 「どさん子ラーメン」は今…… 急成長から衰退までの経緯と復活のシナリオに迫る
札幌みそラーメンの“伝道師”として急成長した「どさん子ラーメン」。かつては1000店以上を展開していたが、マネされるのも早かった。“衰退”したと思われている一方で、復活に向けた動きもある。 - 丸亀製麺が始めた「30分飲み放題」 何が見えてきたのか
讃岐うどん専門店の「丸亀製麺」で、うどんを食べたことがある人も多いのでは。「丸亀製麺=うどん」といったイメージが強いが、数年ほど前から“うどん以外のモノ”にチカラを入れている。お酒とお弁当を提供したところ、売れ行きはまずまずだそうで……。 - 「現金お断りの店」は、その後どうなったのか? ロイヤルHDの実験
1年ほど前、東京の日本橋に「現金お断り」のレストランが登場した。ロイヤルホストを運営するロイヤルHDが運営しているわけだが、キャッシュレスにしてどんなことが分かってきたのか。メリットとデメリットを聞いたところ……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.