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「コンビニの書店強化」が大コケすると思う、これだけの理由:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
コンビニが客と本を結びつける場になるのではないか、と注目を集めている。店内の書店棚を充実させたり、書店との一体型店舗を始めたり、大手3社はさまざまな取り組みを始めているが、本当にうまくいくのか。筆者の窪田氏は否定的な見方をしていて……。
「根っこの部分で問題アリ」の両者
(1)の「構造的な不況にある業態同士が組んでも良い結果にはならない」に関しては、詳しい説明の必要はないだろう。24時間営業問題、粗利益や売上高で変動する高額なロイヤリティ、バイトの過重労働、ドミナント戦略によるカニバリなど、1970年代から継続するコンビニというビジネスモデルにあちこちで限界がきているのは周知の事実だ。
出版も同じ構造である。本が売れないのは「ネットに客を奪われた」という単純な話ではなく、よく言われる再販制度や、流通を全国配送網を握る取次に依存しているがゆえ、出版社が自動車操業的に本を「乱造」し続けなくてはいけない……など昭和のビジネスモデルにあちこちガタがきていることが大きい。
そんな「根っこの部分で問題アリ」の両者が手を組んで、「書店が減少する中で、読者ニーズを掘り起こす」なんてチャレンジングなことができるだろうか。
できるわけがない。
政治家と高級官僚がガッチリと手を組んで、「新しい日本にします」と叫んでやることがことごとく悲惨な結末になっているように、古い既得権益にしがみついていたり、構造的な問題を抱えていたりする者同士が手を組んで新しいことを始めても、焼け石に水なのだ。
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