結局、大型ショッピングモールは街を生かすのか、殺すのか:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
首都圏で大型ショッピングモールが相次いで開業している。巨大な商業施設は地域の人々に便利さと、楽しさを提供しているが、実のところはその町の独自性を奪っているのではないか。そのような指摘がある中で、筆者はどのように見ているのかというと……。
テラスモール松戸、南町田グランベリーパークなど首都圏で大型ショッピングモールの開業が相次いでいる。ということもあってなのか、以下のような巨大ショッピングモールに好意的な報道がチラホラと出てきた。
『開業続々!巨大ショッピングモールは「シニアの楽園」』(毎日新聞 12月1日)
クルマ社会とネット通販全盛の米国では巨大ショッピングモールが廃墟化しているが、日本のモールは電車やバスのアクセスが良く「徒歩客」も多いので集客が好調。図書館でヒマをもて余すような、リタイアしたシニアらの新たな憩いの場にもなっているというのだ。
一方で、地方都市になると、ちょっとムードが変わる。巨大ショッピングモールの出店が激しくなった2000年代から、一部の人たちから「古き良き商店街を殺し、町を破壊する悪のスキーム」と長らく目の敵にされてきたからだ。分かりやすいのが、「無印良品くらしの良品研究所」による、「郊外のショッピングモールが町を壊す」(2013年10月30日)というコラムだ。
欧州あたりの小さな町は、ウィンドウショッピングなんかして楽しむ人でにぎやかだが、日本の町は面白くなく、人通りも途絶えている。これは「人々の行動は郊外のショッピングモールと駅に二分され、その間の町は空洞化していく」からだというのである。
「あれ? ウチの近くのイオンモールにも確か無印が入っていたような……」というツッコミはさておき、このような主張をされている方はいまだに多い。つまり、巨大ショッピングモールは一見すると、地域の人々に便利と、楽しさを提供しているが、実のところはその町独自の魅力を殺して、どこにでもある個性のない町へと変えてしまう「破壊者」だというのである。
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