結局、大型ショッピングモールは街を生かすのか、殺すのか:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
首都圏で大型ショッピングモールが相次いで開業している。巨大な商業施設は地域の人々に便利さと、楽しさを提供しているが、実のところはその町の独自性を奪っているのではないか。そのような指摘がある中で、筆者はどのように見ているのかというと……。
筆者が注目している3つのこと
では、本当のところはどうなのか。
18年末時点で3220ある日本のショッピングセンターの中でも店舗規模区分が5万平方メートル以上のものは160まで増えてきている。イオンのショッピングモールも国内外で200拠点を展開している。ここまで社会に定着してきた巨大ショッピングモールは結局のところ、町を殺しているのか、生かしているのか――。
いろいろな意見があることは百も承知だが、個人的には「町を生かしている」面も否定できないのではないかと思っている。
もちろん、物事にはプラスの面もあればマイナスの面もあるので単純に白黒がつけれるものではないだろう。例えば、地域に巨大ショッピングモールが出店して、周辺の商店街が売上激減するというのは、さまざまなデータが示している。地方の老舗百貨店の衰退にも影響を与えているという指摘も少なくない。しかし、その半面、巨大モールに入るテナントが多くの雇用を生み出し、県外に流出していた若者を呼び戻しているというプラス面も否定はできない。
そのような巨大ショッピングモールが町にもたらす「恩恵」の中でも、筆者が特に注目をしているのは以下の3つである。
(1)娯楽の少ない地方都市に「レジャー」が増える
(2)百貨店や商店街の中では閉店するような店舗が成立する
(3)大規模災害の避難場所など、地域の防災・復興の拠点になる
まず、(1)の「娯楽の少ない地方都市に『レジャー』が増える」については多くの説明はいらないだろう。ディスっているわけではなく、地方はどうしても大都市圏に比べて、若者や家族連れが楽しめる「レジャー施設」が少ない。だから、休日になると地元の商店街を飛び越えて県外へと遊びに行く。このような人の流出を巨大ショッピングモールが防いでいる側面があるのだ。
事実、良い悪いは別にして、イオンモールなどの巨大ショッピングモールで1日を過ごす若者や家族連れは少なくない。シネコン、ゲームなどアミューズメント施設、カフェ併設の大型書店、ショッピングゾーン、フードコート、レストランエリアなど、最近は地域の交流イベントや、お笑い芸人のライブ、コンサートなどを行う施設も多い。
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