結局、大型ショッピングモールは街を生かすのか、殺すのか:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
首都圏で大型ショッピングモールが相次いで開業している。巨大な商業施設は地域の人々に便利さと、楽しさを提供しているが、実のところはその町の独自性を奪っているのではないか。そのような指摘がある中で、筆者はどのように見ているのかというと……。
ショッピングモールに行く理由
このような「レジャー」を地方都市の昔ながらの商店街が提供できるのかというとリソース的にもなかなか難しい。
そのあたりは、全国で唯一の「イオンなし県」として知られている福井県の商工会議所が実施した「県外大型店と買い物に関するアンケート調査結果報告書」が分かりやすい。
実はこのアンケートは、隣接している石川県に17年3月、イオンモール新小松が開業した際に行われたもので、オープンから4カ月のうちにイオンモール新小松に行った人は43.6%。「また行ってみたい」という回答は65.6%だったのはまあなんとなく分かるとして、注目すべきはその理由だ。
もっとも多かったのが、「気分転換に」という点だったのである。
欲しいブランドの店があったとか、ショッピングを楽しみたい人もそれなりにいたが、「ブラブラするだけ」という人がかなりいる。実際に、約8割が使ったお金が「1万円未満」だというのだ。このことから、商工会議場は福井の消費者にとって隣の県のイオンモールとは、「買い物というより気分転換やレジャーとして出かけたい場所と捉えていると思われる」と結論づけているが、筆者も全く同感だ。
少し前に、イオンモール新小松とそう変わらぬ時期に長野県初出店した「イオンモールまつもと」に行くことがあったが、観光地のように混んでいた。ナンバーを見ると、松本以外や他県の人もいて、地域住民というよりも、近隣県の人が「ちょっと遠出」というノリで来ているのだ。
このように「レジャー施設」として外の人間を呼び込むことを考えれば、地域にとっては悪い話ばかりではないのではないか。
次に(2)の「百貨店や商店街の中では閉店するような店舗が成立する」で、もっとも分かりやすい例が大型書店だ。先週の本連載でも述べたが、出版は構造的な不況で、町の書店がバタバタ潰れている。あまりに本が売れないため、販売力の高いコンビニに書店化を進めているような状況だ。(関連記事)。
先ほどのアンケートでも例に出した「イオンなし県」の福井も同様で、福井駅前には北陸を中心に展開する「勝木書店」の本店があるのだが、少し前にそこで「騒動」があった。勝木書店のTwitter公式アカウントが以下のようにツイートしたことが物議を呼んだのである。
『実は駅前の再開(発)にのまれて、店の存続があやしくなってきています。作家の皆さんに図々(ずうずう)しいお願いです。盛り上げるためにサイン色紙をください。壁一面埋めたいと思います。店をなくさないように、福井の人からより一層愛される店になるように、色々やっていきます』
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