第7世代への要望を不躾に言ってみる マツダ藤原副社長インタビュー(5):池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/4 ページ)
ちょっとここからは話が変わって、第7世代のMAZDA3とCX-30に乗って感じたことについて、藤原さんにお伺いする。ADAS(先進運転支援システム)、ステアリングアシスト、そしてマツダコネクトについて。
カーナビのライバルはスマホか?
池田 さあ、そしてマツダコネクトです。まだルートの組み立てが変なんですよ。それとマツダR&Dセンター、音声入力で入らなかったです。
藤原 へえ。すいません、ちょっとそこは確認してないんですけど、今回は随分よくしたつもりなんです(笑)。え?ルートがおかしい?
池田 私が使ったケースではルート選定がちょっとおかしかったです。知っている道ならそのルートは選ばないというところへ案内しようとします。それと、あとはアルゴリズムというか、例えば「ナビを操作する」って1回コマンドを言ってから、その次に出てくる候補とかが、やたら段階を踏むんですよね。これは例えば今、スマホに慣れた人たちなら「マツダR&Dセンターに行く」みたいな命令1回でいいはずなのに、何度もジャンルを選ばせたりエリアを選ばせたりとか、今の日常で使う道具の操作性となじまない。昔はCPUの処理速度が遅かったから、あんまり多くのデータの中から選びたくなかったのでしょうけど、今の処理水準だったら、スマホのCPUでも一発でできちゃうわけですから、そこの段階はあんなに踏まないでいいんじゃないでしょうか。
藤原 分かりました。今のは多分、競争相手をスマホと思ってないからですね。池田さんの中では競争相手がスマホなんですよ、比較の物差しが。でも、われわれ多分それって昔ながらの自動車のナビとして見ているから。
池田 むしろ伝統的な、やり方ですかね。
藤原 そうそう。その世界ではいいじゃん、よくなったよねって見ているんですね。分かりました。すごくいい指摘だと思います。今度、使おう。
池田 トヨタは今回、もうナビをほぼスマホに明け渡しかかっているじゃないですか。アプリを車載ナビとして使う。
藤原 LINEとかね。
池田 Apple CarPlayとAndroid Autoとかもです。
藤原 あれは良いんですか?
池田 現状で良いかどうかは、分からないんですよ。まだダメなところもあります。
藤原 (笑)
池田 ただ、長期的に見て、これからああいうふうにスマホとアプリが使われるとなったら、スマホの機能やアプリがどんどん充実してくるはずです。向こうがイナゴのように群がって、オープンマーケットで開発してくるものと、組み込みで戦い続けるのは、ちょっと現実的ではないかなと。だから、むしろナビ部分については、ある程度明け渡してしまったほうがよかったりするかもしれません。
藤原 今回、CarPlayとAndroid Autoは使えるようにしたので、それを今つないでもらえればというところで、多分われわれがエクスキューズしてんですね。だからそこは、ナビをやるならスマホと戦えるようにしなくちゃいけない。もしくは、極端にいったらあきらめるかっていうことでしょうね。はい、分かりました。ありがとうございます。
池田 そんな気がします。リソースは限られているのだから、むしろマツダでないとできないところにもっと注力することを考えた方がいいのかもしれません。マツダコネクトは、ただでさえ今、まだ色眼鏡で見られているところなので、戦いは厳しいかもしれません。
藤原 分かりました。
さて明日5日掲載の次回はいよいよ最終回。「ただのクルマ談義」の予定です。
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