「100円おせち」はなぜ売れるのか? ローソンストア100が強気の販売予想を打ち出したワケ:涙ぐましいコストカットの努力(2/2 ページ)
ローソンストア100の「100円おせち」が売れている。19年度は昨対比120%となる約138万個の販売を見込む。なぜこれほどヒットしているのか。
コストカットのために努力
ローソンストア100では、100円という価格を実現するため、さまざまなコストカットに取り組んでいる。いくつか事例を紹介しよう。
19年度の新商品である「豚の旨煮」や「お煮しめ」は、製造・パック・在庫管理・物流を特定のメーカーに集約している。さらに、パッケージも統一している。
「くるみ甘露煮」は、くるみのサイズを統一せず、バラバラにしている。また、「わかさぎ」や「あさり」の佃煮と一緒に特定のメーカーに発注してコストダウンを図っている。
シーズンオフの工場を活用する取り組みもしている。「伊達巻」を製造する工場は、春・夏にしらすやちりめんじゃこを加工している。冬は生産する商品が少ないので、ときには閉めることもあるという。そこで、遊んでいるラインを活用し、製造している。また、「栗きんとん」や「栗甘露煮」を製造する工場は春・夏に贈答用のゼリーを製造している。この工場も冬には製造ラインの稼働率が落ちる。そこで、ゼリーの製造ラインを活用し、栗きんとんを製造している。
毎年20万本以上売れる人気商品であるかまぼこは、1社に大量発注し、大量製造することでコストダウンしている。さらに、販売の1年前から計画的な原材料の仕入れや生産計画を立て、無駄を出さないようにしている。高級食材の代名詞である「味付け数の子」も1年前から原材料となるニシンのタマゴを確保し、回転寿司のネタを加工する工場でカットしている。
こうしたコストカットの努力もしつつ、ラインアップを広げた結果、「お客さまは主婦が中心だったが、単身者や若い人も買うようになった」(近藤副本部長)という。
人気インスタグラマーが提案
マーケティング施策として、100円おせちの活用方法を料理研究家の小林睦美氏に依頼している。小林氏は料理やスイーツの情報をインスタグラムで発信しており、約2.7万人のフォロワーを持つ。100円おせちを組み合わせた「洋風ワンプレートおせち」や「中華風ワンプレートおせち」といったような盛り付けを特設サイトで提案している。和風の組み合わせだけだと飽きてしまうので、それ以外でも楽しめるようにするための工夫だ。
強気の販売目標を立てた100円おせちはどのくらい売れるだろうか。
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