「なぜ売れるか分からない」 ドンキ化したファミマの人気商品に幹部が困惑:冬の商品なのに夏にも売れる(1/2 ページ)
ドン・キホーテのノウハウを取り入れた共同実験店が6月にオープンした。店舗の売れ筋商品を分析したところ、ある商品が上位に食い込んだ。ファミマの幹部は「なぜ売れるのか分からない」と原因を分析しきれていない。
「なぜ焼き芋が売れているのか分かりません」
ファミリーマートの佐藤英成氏(常務執行役員 商品・物流・品質管理本部長)は、「2018年度下期商品政策説明会」の場でこのようにコメントした。
18年6月、ファミマはドン・キホーテのノウハウを取り入れた共同実験店を都内に3店舗オープンした。この店舗にはドンキが推奨した商品を半数近く取り入れており、ファミマが売れ筋商品を分析したところ、ドンキ名物の「焼き芋」が販売金額ランキングで5位となった。冒頭のコメントは「なぜ焼き芋が売れているのか?」と記者に質問された際の回答である。
ドンキ流を取り入れて売り上げアップ
ファミマの発表によると、実験店の1つである「ファミリーマート大鳥神社前店」(東京都目黒区)は、7月の日商、客数、客単価のいずれもが前年比で110%以上になった。時間帯別の日商をみると、全ての時間帯で前年比を上回っているが、特に午後6時〜午前2時の深夜帯が140%以上となった。ドンキはもともとナイトマーケットのお客を取り込む力に秀でているが、実験店ではその強みを生かした格好だ。
売れ筋のカテゴリーを見ると、実験店で取り扱いアイテム数を増やした日用品、菓子、加工食品の売り上げが前年比で200%以上となった。さらに、来店したお客の滞在時間を分析したところ、通常の店舗より長く、“コンビニ離れ”が進んでいた若年層の獲得にも成功したという。
実験店の売れ筋商品にもドンキが推奨する商品が食い込んでいる。ドンキのPBである「情熱価格極氷」(袋詰め氷)は販売数量で3位、売り上げ金額で2位となった。ファミマでは同様のかちわり氷を200円弱で販売しているが、実験店では極氷を150円弱で販売している。佐藤氏は「(ドンキとの共同実験を通して)値段のころ合いが分かってきました」とコメントした。どのような値付けにすればお客に支持されるのか、ある程度感触をつかんでいるようだった。
もう1つ、実験店の売れ筋商品で目を引いたものがある。それは、ドンキ名物の「焼き芋」で販売数量は6位、売り上げ金額では5位にランクインした。
関連記事
- 狙いは肉食系男子? 「ドンキ化」したファミマに行ってみた
ドンキのノウハウを注入したファミマの実験店舗がオープンした。商品の品ぞろえや陳列方法はこれまでのファミマからは想像もできないものだった。オープン当日の様子をルポ形式でお届けする。 - ドンキはなぜここまで成長できたのか、そして何を目指しているのか
ドン・キホーテの快進撃が止まらない。29期連続の増収増益を達成する見込みであり、コンビニやスーパーが競ってそのノウハウを学ぼうとしている。ドンキの強さの秘密はどこにあるのか。そして、どんな進化をしようとしているのか。 - ドンキの圧縮陳列とPOP洪水を生み出した「泥棒市場」
「権限移譲」「圧縮陳列」「POP洪水」「迷路」――ドンキの強さを表すキーワードはいくつかあるが、これらはどのようにして誕生したのだろうか。創業者である安田隆夫氏の自伝からドンキの“源流”を読み解いていく。 - 西友の買収にドンキが前向き、勝算はあるのか?
米ウォルマートが西友の売却を検討していると報道され、ドン・キホーテが買収に前向きな姿勢を示している。もしドンキが西友の買収に成功すれば、国内の小売業界の地図は大きく塗り変わるはず。ドンキはどのような将来像を描いているのだろうか。 - “毎日安売り”のオーケーとコスモスが着々と進める“西友包囲網”
ウォルマートによる売却報道が飛び出た西友は、毎日安売りをするEDLP(Everyday Low Price)で苦戦している。しかし、同じスーパー業態のオーケーや、ドラッグストアのコスモス薬品のように、EDLPで成功しているケースもある。どこで差がついたのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.