西友の買収にドンキが前向き、勝算はあるのか?:“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)
米ウォルマートが西友の売却を検討していると報道され、ドン・キホーテが買収に前向きな姿勢を示している。もしドンキが西友の買収に成功すれば、国内の小売業界の地図は大きく塗り変わるはず。ドンキはどのような将来像を描いているのだろうか。
小売り世界最大手の米ウォルマートが西友の売却を検討していると報道され、ドン・キホーテが買収に前向きな姿勢を示している。もしドンキが西友の買収に成功すれば、国内の小売業界の地図が大きく塗り変わることになる。ドンキは西友を通じてどのような将来像を描いているのだろうか。
西友の売却報道にドンキが真っ先に反応
ドンキの大原孝治社長は8月13日、都内で開催した事業説明会において、ウォルマートが本当に売却するのであればと前置きした上で、買収について「興味がある」と述べた。
西友は02年に業績が低迷したことをきっかけに米ウォルマートと資本提携。その後、08年には完全子会社になっている。非上場企業となったことから業績の詳細は不明だが、17年12月期の売り上げは約7000億円、利益はほぼゼロという状況となっている。
ウォルマートは、全世界で60兆円以上を売り上げる小売界の巨人だが、このところ急ピッチでビジネスのネット化を進めている。背景にあるのは言うまでもなく米Amazon(アマゾン)との覇権争いである。
米国ではほとんどの国民がウォルマートに短時間でアクセスできるほどの店舗網を確立しており、もはや生活の一部となっている。同社は各店舗をネット通販の商品受け取り場所として機能させる戦略を進めており、これが功を奏している。
アマゾンの追撃をかわすため、ネット関連事業に巨額の投資を行っている同社にとって、業績が低迷する日本事業の優先度は低いはずだ。ウォルマートは西友の売却について正式にコメントはしていないが、売却の方針という報道に違和感はない。
通常であれば、イオンやセブン&アイ・ホールディングスなど、競合各社が手を挙げるところだろうが、今回、真っ先に名乗りを上げたのは、同じ小売りといっても、異業種に分類されるドンキだった。だが、近年のドンキの動きを見れば、西友の買収に動くことはそれほど不自然なことではない。その理由は、ドンキはビジネスモデルの抜本的な変革期に入っているからだ。
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