「脱パワハラ」はどうすれば? 目標第一の営業部長が苦悩:ケースで学ぶ組織の変革(4/5 ページ)
「その発言、パワハラでしょ」と感じたことがある人も多いのでは。パワハラ文化は長らく日本の会社に根付いているが、どうすれば解決することができるのか。実際のケースで分析したところ……。
ハードルを乗り越えるための手順
以上のハードルをどのように解除していったらよいだろうか。ここではアプローチの一例を述べる。
想定される3つのハードルの中では、まず、マネジメント体制の変革を図る必要性が高い。中長期的に成長発展していくために、短期的な業績成果だけでなく、仕組みづくりや人財育成に注力する必要があり、それが業績一辺倒の風土を変えることにもつながる。業績目標の達成意識は大事だが、そのことイコール「詰めるマネジメント」では決してない。異なったアプローチで成果を上げるためのマネジメントの在り方を、取り入れるべきだ。
もしマネージャー陣にそのスキルが不足しているならば、営業マネジメント体制の再構築プロジェクトを発足させ、新たなマネージャーを外から引っ張ってくるか、コンサルなどの外部を入れてマネジメント体制の変革を図ることが望ましい。
そうして営業戦略から逆算したKPIを設定し、結果しか見ないマネジメントから、プロセス重視のマネジメントへの転換を図る。つまりは「訪問数」や「提案数といった行動の「量」だけでなく、「提案率」や「リードタイム」「継続率」といった「質」に注視するように転換していく。
その上で、質を高めるための営業の仕組みづくりと人財育成を進めるよい。自社にとってのベストプラクティスをベースにやり方を標準化し、KPIを定点観測することで課題を見出し、仕組みをブラッシュアップしていく。そういった「営業を科学する」習慣が、着実なスキルアップと成果創出につながる。
また、営業マネージャー、営業社員の評価制度の見直しにおいては、マネージャーには人財育成の評価項目を新たに設定し、営業社員は業績成果に加えKPI達成度も評価項目として設定することが望ましい。設定された目標と評価が連動していなければ、目標が形骸化しかねないからだ。
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