総合コンサルティング企業のアクセンチュアは、日本を含む20カ国、20の業界における8356社の経営層を対象に、テクノロジー活用がもたらす潜在的な価値と実際に得られた価値の乖離(かいり)を理解することを目的とした調査を実施した。
調査では、「テクノロジーの導入状況」「テクノロジーの活用度」「組織文化への浸透度」の3点で企業のスコアを算出し、上位10%をテクノロジー導入の先行企業、下位25%を出遅れ企業と定義。2015年から23年(予測値)の業績評価指標に基づいて、テクノロジー活用と業績との関係を分析した結果、先行企業は出遅れ企業に比べて、2倍以上の収益成長率を実現できていることが判明した。
また、18年に限定すると、出遅れ企業は年間で15%の増収の機会を逸しており、テクノロジーの活用方法を変えない限り、23年には46%の増収の機会が失われる恐れがあることも分かった。
さらに、調査結果を分析すると、全社規模でのテクノロジー導入と組織変革に関して、先行企業は出遅れ企業とは対象的に、以下の特徴的な考え方を持っていることが明らかになった。
まず、俊敏性と柔軟性をもたらすテクノロジーの導入だ。98%の先行企業ではAIを導入しているのに対し、出遅れ企業での導入率は42%にとどまっている。また、先行企業はテクノロジーを利用するために積極的にクラウド活用を進めている。先行企業の95%が「イノベーションの源泉としてクラウドを捉えている」のに対し、同じ考え方を持つ出遅れ企業は30%だった。
同様に、先行企業の90%が、信ぴょう性や公平性に欠ける可能性のあるデータに依存しないよう、データ品質を確保するための対策を講じている。先行企業の94%は「ビジネスを推進する上で、自社のデータが十分な信頼性を担保している」と考えており、出遅れ企業の64%を大きく上回っている。
加えて、先行企業の73%が従業員に対して体験型学習プログラムを提供しており、この割合は出遅れ企業(24%)の3倍近くに及んだ。個々のスキルにあわせた学習プログラムの提供、従業員のスキル向上に対するニーズ予測、従業員のスキル要件とトレーニング内容とのマッチングといった分野において、AIや高度なアナリティクスを利用している割合は、先行企業が87%であるのに対し、出遅れ企業はわずか35%だった。
関連記事
- 衛星画像データ解析で野菜の収穫量を予測――JAXAベンチャー企業が実現
生産現場の衛星画像データをモニタリングすることで野菜の安定供給をサポートする管理サービスが始動。サービス開始に先立ちパートナー企業を募集中だ。 - AIでリアルタイムに交通量を調査 服装などのトレンド情報も収集可能
Intelligence Designは、IoT端末を用いて安価に交通量調査を行える自動化サービス「IDEA counter」を発表した。 - ノートPC「Let's note」が“サブスク”に 働き方改革支援パッケージ
パナソニック システムソリューションズ ジャパンは、ノートPC「Let's note」本体と管理部門向けサービスを定額制で利用できる企業向けサービスを開始する。 - サイボウズは「SaaSシフト」をどのように成功させたのか
業務アプリケーションの「パッケージソフト販売」から、「クラウドベースのSaaSモデル」への事業転換に成功したサイボウズ。同社の開発本部長である佐藤氏に話を聞いた。 - 医療業界を変えたエムスリーに聞く 革新的サービスを開発するためのカギ
世界10カ国の医療従事者を巻き込む一大メディカルプラットフォームを構築したエムスリー。医療業界という非IT領域にテクノロジーを持ち込み、革新的なサービスを打ち立てた同社のサービス開発戦略を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.