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「若いときにひどい目にあった」自慢のおじさんは、なぜヤバいのかスピン経済の歩き方(2/5 ページ)

8月下旬、三菱電機の新入社員が自殺していたことが明らかに。教育主任から「死ね」と言われていことが分かって、この主任は書類送検されたという。それにしても、なぜ同じような問題が繰り返されるのか。背景にあるのは……。

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問題の本質は何か

 では、問題の本質は何かというと、個人的には、電通や三菱電機の幹部・管理職に、「若いときにひどい目にあった自慢」をするおじさんが多いからだと考えている。

 「なんだよそれ?」と思う方も多いかもしれないが、要するにこれは、新入社員や若手社員のときに壮絶な過重労働や、上司からのハードなパワハラを経験して、なおかつそれを心のどこかで「勲章」のように誇らしげに感じているおじさんのことだ。

 例えば、皆さんのまわりでも、以下のような「若いときにひどい目にあった自慢」をするおじさんは多くないか。

 「若手のときは怖い上司に精神的に追い込まれたけど、あれのおかげで今の自分がある」

 「新人のときはほとんど会社に泊まっていたけど、あの辛い日々のおかげで成長できた」


(出典:ロイター)

 もちろん、自分自身の体験なので、何をどう解釈しても美化しても自由なのだが、このような「若いときにひどい目にあった自慢おじさん」が管理職になると往々にして、部下や後輩に対して壮絶なパワハラや過重労働を強いることが多い。ちょっと前、十代の女子体操選手をヤカラ調に叱責して、横っ面をひっぱたいていたコーチが世間から叩かれて、「自分も若いころにそのような指導のおかげで成長した」という主旨の釈明をしたが、暴力やハラスメントを受けてきた人間は、自分が指導・育成する者にも暴力やハラスメントを強いるものなのだ。

 筆者も仕事柄、40〜50代の大企業に勤める管理職の方と多くお会いするが、自分が若いときに受けてきた過重労働やパワハラを、「部活のシゴキ」のように嬉しそうに振り返る人が思いのほか多い。そして、そのような人に限って、「最近若いのは根性がない」とか「やっぱり死ぬほどつらい目に追い込まれないと人間は成長できないよね」なんてことをのたまうのを何度も耳にしてきた。

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