なぜ今、証券業界で手数料無料化が進むのか?(2/4 ページ)
証券業界の売買手数料無料化の流れが加速している。米証券大手のチャールズ・シュワブは10月1日に手数料撤廃を発表。国内でもSBIホールディングスは10月30日の決算発表にて、傘下の証券会社の取引手数料を今後3年でゼロにする構想を打ち出した。
売買手数料に続いてアセットマネジメントコストも無料へ
無料化の流れは売買手数料にとどまらない。次に無料化の波がやってくるのが、投資信託やロボアドバイザーなど、顧客から預かった資産を運用するアセットマネジメント事業だ。
「ブローカレッジは20年かかって利潤が消えつつあるが、アセットマネジメントはもっと早いのではないか」(大原氏)
投資信託などは、顧客に代わり資産を運用する対価として、信託報酬などの形で預かり資産の0.1〜1%程度を受け取る。国内のロボアドバイザーサービスでも、預かり資産の1%程度を受け取る形が多い。
ところが、米フィデリティ・インベストメンツは18年に信託報酬が無料のインデックスファンドを提供。高い注目を集めた。こうしたゼロコストの流れは他社にも波及。米国では信託報酬ゼロのETFなども登場し始めている。
「日本でも、アセットマネジメントサービスが氾濫していて、付加価値が見えにくくなっている。プロダクトに対する価格低化圧力は強い」と大原氏は指摘する。
ただしサービスの付加価値が低下しているからコストがゼロになるのではなく、ブローカレッジと同様に、無料にしても成り立つ準備が整っているからこそゼロが実現するというのが、大原氏の見立てだ。
「フィデリティがなぜゼロにできたかというと、同社のファンドプラットフォームへの参加を促すためだ。ファンドのユーザー数を増やせば、プラットフォームを使いたいという運用会社が増えていく」
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