2015年7月27日以前の記事
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事業の全ては契約でできている――弁護士出身の注目ベンチャーCEOが語る「リーガルテック」最前線契約マネジメントという考え方(2/3 ページ)

法務とテクノロジーをかけ合わせてソリューションを提供する「リーガルテック」が広がり始めている。契約マネジメントシステムを提供する新興企業、Holmesの創業者で代表取締役の笹原氏に話を聞いた。

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契約による損失や契約上の見落としを明らかにする

 では、ホームズクラウドはIT化による業務効率化を実現するソリューションなのか、というとそのような単純な話ではない。もう1つの重要な視点は、「リーガルテックを活用して何を生み出すのか」ということだ。仕事が楽になるだけでなく、リーガルテックによって起こりうる損失を回避し、契約上の見落としなどを明らかにする。それらは企業にとって利益やリスクヘッジにもなる。

 シードステージ(会社設立前の準備期)のスタートアップを投資対象とするベンチャーキャピタルのCoral Capitalは、投資プロジェクトの時間を短縮すべくホームズ プロジェクトクラウドを導入した。シードステージの事業は、投資実行のスピード感と、手続きの正確性が重要になる。

 そこで、投資を行う際の書類回収から送金までの過程を、顧客の契約ごとにホームズ プロジェクトクラウドで一元管理するようになった。その結果、投資業務がプロジェクト内で完結するため、業務が明確化し、送金指示依頼や着金確認もスムーズになったという。


契約がきちんと管理されていないことで生じるコストは大きいと語る笹原氏

 「ベンチャーキャピタルは投資契約を結んで終わりではなく、前後に会社法上の手続きなど関連業務が多くあります。投資先の業績把握も必要なので、決算書を見たり、毎年株主総会に出たりする必要もあり、業務は多岐にわたります。そんななか、決算書がない、登記していなかったとなると大問題です。しかし、投資を実行して入金が終わったあとに、多数の案件があるなかで登記を1件1件確認してくのは大変です。だから、ホームズ プロジェクトクラウドでは、投資先ごとに全てのフェーズを設定して、進捗を確認できるようにしています」

 時代の変化によってビジネスは多様化してきている。今は同じ企業内でもさまざまな契約の業態があり、新しいビジネスモデルも次々と生まれる時代だ。そのなかで、現場が契約を全て把握するのは難しい。そのため、ある程度仕組みを作り、現場が考えなくともミスなく正確に契約フローを進められる形が求められている。笹原氏は「しっかりマネジメントしてフローを構築し、権利義務を自然と実現させていくのが私たちの課題です」と意気込む。

 「売上に計上できたものができていなかったり、無料で修理できたはずが権利を把握しておらず自社で修理してしまったりという事例は無数にあふれています。契約がきちんと管理できていないことによって生じるコストやロスは、数字では出ませんが肌感覚としてみんな持っているはずです。売上や経費に直結するのが契約なのです」

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