事業の全ては契約でできている――弁護士出身の注目ベンチャーCEOが語る「リーガルテック」最前線:契約マネジメントという考え方(3/3 ページ)
法務とテクノロジーをかけ合わせてソリューションを提供する「リーガルテック」が広がり始めている。契約マネジメントシステムを提供する新興企業、Holmesの創業者で代表取締役の笹原氏に話を聞いた。
契約の「面倒くさい」「難しい」を解消したい
契約業務は専門的に学んでいなければ、やはり面倒くさく、内容が難しいイメージが先行する。しかし、本来契約書は契約のいち“点”でしかない。権利義務が詰まっていて、会社の売上に直結するものだ。「それをペーパーレス化したところで、契約業務の面倒くささが解決するとは思えない」と笹原氏は語る。
そこで笹原氏が挙げたのは、Dropboxの例だ。11年前にDropboxが誕生し、人々は革命だと驚いた。しかし、紙が電子化され、クラウドストレージで管理されるようになった今でも、Dropboxでは何も解決していない。倉庫にあった書類の保管場所がDropboxに移っただけであり、根本的に課題を解決したわけではないというのが笹原氏の考えだ。
「確かに電子化はエポックメイキングですし、Dropboxは素晴らしいプロダクトです。しかし、次のステップではDropbox上にあるものを意味付け、ひも付けして、さらに関連情報をどう見つけ出せるようにするかが重要です」
電子化した契約でも、誰が担当し、どういう経緯で契約したもので、最新バージョンはどのファイルなのか、登記はどうなっているか、代金は履行しているか……そういった情報が可視化されなければ、根本的な解決にはならない。だからこそ、「契約全体や別の契約とのつながりをきちんと構造的に捉える仕組みを作りたい」と笹原氏は主張する。
「次のステップでは、契約の発生頻度や契約の種類、契約のライフサイクルなどのデータを生かしたいと考えています。どのような権利がこの契約にあるのか、契約書を見て読み解くのは時間がかかるし難しい。それなら、契約書から重要な項目を箇条書きにしてデータ化しておくだけでも、有する権利を類型的に把握し、社内に周知できます。今後ナレッジが蓄積していけば、アナリティクスもやっていきたいですね」
また、セールスフォースのような柔軟性も備えたいと話す。市場にはホームズクラウド以外にも、リーガルテックを活用したさまざまなソリューションが出てきている。そこで、ホームズクラウドがプラットフォームとなり、他社のサービスをアプリケーションのような形でホームズクラウド上で使える機能を搭載したいと考えているそうだ。
これがもし実現すれば、ホームズクラウドで作った契約書を他社のAIアプリがレビューしてくれるような仕組みが可能になるかもしれない。
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