「高級タワマン台風被害」で武蔵小杉・豊洲の人気は結局落ちた? 独自データで検証:中古マンション市場で分析(2/2 ページ)
台風上陸でタワマンへの被害が話題になった武蔵小杉エリア。こうした高級再開発エリアへの台風の風評被害の影響は?豊洲と合わせ独自データから検証する。
「台風の悪影響」は果たして長期化する?
ただ、両エリアでこの影響が具体化、長期化するかについては針山社長は「以前も武蔵小杉駅はホームに人があふれている様子がニュースになるなど、新エリアのため頻繁に(メディアに)取り上げられて注目を集めやすい傾向にある。ただ、ここ数年は(価格が)良くも悪くも落ち着いていて、ニュースがあるたびに変動や過熱感はそれほどない印象だ」と分析する。
他の不動産会社も、両エリアの人気低下については割と楽観的な見方のようだ。同様にネット上での不動産売買の仲介を手掛けるマンションマーケット(東京都千代田区)も、「台風19号直後はかなりマイナスイメージが先行していて不安の声が多く出ていたようだが、表面的には時間の経過と共に声は少なくなっている」とみる。「豊洲エリアは東日本大震災直後に売れ行きが急激に鈍化したが、数年後に回復した過去がある。武蔵小杉も台風による風評被害で一時的に(人気が)鈍化しつつあるが、結局は『沿線』としてのポテンシャルの高さが強みにあるため、人気を維持するだろう」(同社の営業担当者)。
ただ、マンションマーケットの社内では「千葉県の海浜幕張エリアや浦安エリアが東日本大震災で液状化したが、地震直後は大きな影響がなかったものの、数年かけて2〜3割ほど(価格が)下落したともいわれている。価格などに影響が出てくるとすれば数年後では」(別の担当者)との見方も。
ちなみに、マンションマーケットが発表した10月の中古マンションの相場ランキングでは、あくまで東京都江東区の限定だが、上位は最近の人気エリアとして知られる門前仲町近辺が占めた。同区内にある豊洲のマンションは、意外とあまり上位に食い込んでいない。同社も「(豊洲では)中古マンションがダブついている感が否めない」と分析する。
良くも悪くも何かと話題を呼びがちな、ムサコ・豊洲を始めとした関東の再開発エリア。東京五輪を目前に、「タワマンバブルの崩壊」のような現象が発生するか、引き続き目が離せない。
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