企業不祥事トレンドは「人口減少型」、2020年はどうなる?:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
2019年も、さまざまな企業不祥事があった。レオパレス21やセブン-イレブン、かんぽ生命など、そうそうたる大企業が次々にやらかしたわけだが、20年はどうなるのか。筆者の窪田氏が分析したところ……。
「低価格・高品質・高サービス」の維持が苦しく
こういう流れを踏まえると、20年以降の企業不祥事トレンドは悪質化が進んでいくとしか思えない。高齢者、情報弱者、低所得者につけこんだ犯罪的な不正を行う企業がこれまで以上に増えていくのと同時に、ビジネスのために規制や法律の穴をつこうと汚職や収賄という不祥事も表面化していくのではないか、と個人的には考えている。
年の初め、しかもオリンピックイヤーで日本中がひとつになろうと言うときに、水を差すような縁起の悪い話をするな、と不愉快になる方も多いかもしれないが、年の初めや、人口増時代を象徴した国威高揚イベントへ過度な期待をかける人が多い年だからこそ、「人口減少」という現実を直視しなくてはいけないという気もしている。
人口増型ビジネスモデルが崩壊してきたのは、セブンやレオパレス、日本郵政だけではない。日本人が当たり前だと思っている「低価格・高品質・高サービス」を掲げるすべての企業が該当する。当たり前だが、これは日本人が1億2000万人もいてはじめて成立する。
その根幹が揺らいでいるので、「低価格・高品質・高サービス」を掲げる企業の足元から崩れていくのは当たり前の話なのだ。
この「不可能」を「可能」にするには、誰かが犠牲になるしかない。そこで、日本人が嫌がるような低賃金労働を、日本人に命じる真面目にこなす「奴隷」が必要だということで、「外国人労働者」をたくさん受け入れることにしたが、あまりに劣悪な環境ということで次々と職場放棄や脱走をしている。
なんとかだまくらかした若者を、「オレの若いときはこれくらい辛いのは当たり前だ」などとワケの分からないイチャモンをつけてコキつかっていた現場も、ブラック企業問題やパワハラが社会問題になったことで「低価格・高品質・高サービス」の維持が苦しくなってきた。
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