働き方改革に取り組んでいる企業は6割超 「休日取得の推進」「長時間労働の是正」が上位
帝国データバンクが働き方改革に対する企業の取り組み状況や見解について調査を実施。すでに「取り組んでいる」企業は60.4%となり、2018年8月の前回調査から22.9ポイント増となった。
2019年4月1日に「働き方改革関連法」が施行された。一部の分野では20年4月から中小企業が新たに適用対象となるなど、その範囲は順次拡大される予定となっている。
帝国データバンクが働き方改革に対する企業の取り組み状況や見解について調査を実施したところ、働き方改革に取り組む企業は6割を超えている一方、取り組む予定はない企業も1割弱いることが分かった。
働き方改革への取り組み状況では、「取り組んでいる」企業は60.4%となり、前回調査(2018年8月)から22.9ポイント増となった。また、「現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定」(16.3%)を合わせると、76.7%が積極的な姿勢を見せている。その一方で、「以前取り組んでいたが、現在は取り組んでいない」(2.0%)、「取り組む予定はない」(8.9%)との回答もあった。
取り組みの具体的な内容は、「休日取得の推進」が77.2%と最多で、「長時間労働の是正」が71.0%で続いた。次いで「人材育成」(49.6%)、「健康管理の充実」(45.9%)、「職場風土づくり・意識の改善、コミュニケーションの活性化」(44.7%)、「業務の合理化や効率化のためのIT・機器・システムの導入」(43.6%)が挙げられた。
さらに、今後の取り組みを聞いたところ、「サテライトオフィスやテレワークの導入」(23.6%)が最も高く、「副業の許可」(22.5%)が続いた。いずれも現在における取り組みでは1割を下回っていたが、今後の導入を検討している様子がうかがえる。
取り組みで最も重視する目的は、「従業員のモチベーション向上」が32.4%でトップだった。ついで、「人材の定着」(20.2%)、「生産性向上」(13.5%)も上位となった。また、「従業員の心身の健康」(11.4%)も続くなど、従業員への影響を重要視している傾向がみられた。
取り組んでいない理由では、「必要性を感じない」(34.2%)が最も高かった。以下、「効果を期待できない」(25.4%)、「人手不足や業務多忙のため、手が回らない」(22.4%)も上位で続いている。すでに理想の労働環境が実現している企業なのか、それとも現状を変えたくない企業なのか、理由の背景が気になるところだ。
企業では、多様で柔軟な働き方の実現や公正な待遇の確保のほか、人手不足の解消や生産性向上に対する取り組みなどが求められている。そのため、今後の企業活動において働き方改革の重要性は増していくと考えられる。
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