「おひとり様」の増加に、マーケッターはどう対応する?(2/3 ページ)
未婚者(おひとり様)が増えると、さまざまなサービスや商品が、ファミリーやカップルといったターゲットから、おひとり様向けへの変更を余儀なくされるのだろうか。どのようなことが起きるのだろうか。
この問題は独身女性だけではない。平成29年版厚生労働白書によれば、50歳代の世帯総所得は、2012年から2014年にかけて、年収300万円以下の世帯が急増している。300万円以下が20%以上(4%近い上昇)、500万円以下だと36%以上に上る。(平均総所得は+約48万円、中央値は659万円から722万円と増加しているにもかかわらずだ)
これはまぎれもなく、単身世帯における所得減少と思われ、おひとり様の経済状況の厳しさが見て取れる。少し古い資料だが、現在でも同じような傾向が続いていると思われる。
ところが、海を越えたアメリカでは、まったく別の話となっている。モルガン・スタンレーの報告書によれば、アメリカにおける独身女性はこれから増え続け、アメリカ全体の人口増加率(0.8%)に対して、0.4%高い1.2%の年率で増え続けるのだそうだ。2030年の独身女性の人口は7750万人になるとされ、なんと、15歳以上の女性において、独身女性が既婚女性の人口を上回るのだという。
ただし、人口の差は大きいが、ここまでは、日本の状況と似ていなくもないといえる。独身が増加するという点においては……。
ところが、アメリカでは、前述したような独身女性の低収入の問題ではなく、逆にこの状況を「Rise of the SHEconomy(シコノミーの台頭)」と呼び、独身女性(高収入の働く独身女性)の増加によって、アメリカの経済に大きな影響を及ぼすとしている。
「SHEconomy(シコノミー)」とは、「She」と「Economy」を合わせた造語であり、「女性が動かす経済」という意味だ。
モルガン・スタンレーの報告書によれば、ファッション、食品、車など、経済のメインとなる分野でアメリカ経済を後押しするという。
実際に、日本においても、こうしたカテゴリーに入ると思われる人たちを目にすることは多い。高級レストランやホテルラウンジ、ゴルフ場などでは、会社の経費が使いづらくなった中年の男性に代わって、セレブな女性の目にすることも多く、本当に日本のマーケットを支えていると感じる風景もある。
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