「一人○○」が超“おいしい”マーケットに 「働く40代女性」を狙うべきこれだけの理由:食の流行をたどる(5/5 ページ)
飲食や旅行といったシーンで「一人○○」が増えている。筆者は特に40代の働く女性を狙うべきだと主張する。その理由とは?
“おいしい”マーケットを獲得する方法は?
では、この“おいしい”マーケットを獲得するためには何が必要なのだろうか? 2つのヒントをお伝えしたい。
まずは、メニューの工夫だ。アラカルトであれば、小皿やハーフサイズのメニューを用意することで、一人客でも多くの種類を注文できる。そのようなメニューがあるお店は選ばれやすいし、満足値も高いためリピートにつながりやすい。そして、コース料理であれば、プリフィックスコースをおすすめしたい。これは、いくつかのメニューの中から好きなものを選択して、自分で作るコースのことだ。メインやデザートだけでも選択・カスタマイズできるようにしてもいいだろう。例えば、好みが分かれやすい食材の代表であるパクチーが好きなお客には多めにしてあげるといったことが考えられる。一人だからこそ、その「たった一人の願い」をかなえてあげることが重要ではないだろうか。
次は、席の工夫である。業態開発はコストがかかり、リスクを伴うものだ。しかし、既存店でもスペックの工夫次第で一人客の獲得が可能だ。カウンターだけでなく、今まで活用できていなかったちょっとした隙間や死角に小さなテーブルを置いて、たった一人の空間を作れば、居心地のよさを演出できるのではないだろうか。
このように、昨今のライフスタイルの変化により急激に伸びている「一人○○」市場。旅や飲食のシーンで、一人客を満足させるような新たなプランが生まれることに期待したい。
著者プロフィール
有木 真理(ありき まり)
「ホットペッパーグルメ外食総研」上席研究員。1998年、同志社大学を卒業後、外食チェーン店へ。6年間勤務したのちに、フリーのフードコーディネーターに。2003年、リクルートに入社し、『ホットペッパーグルメ』に従事。全国の営業部長を経たのち、2017年、リクルートライフスタイル沖縄の代表を務めると共に、「ホットペッパーグルメ外食総研」の上席研究員として、食のトレンドや食文化の発信により、外食文化の醸成や更なる外食機会の創出を目指す。自身の年間外食回数300回以上。ジャンルは立ち飲み〜高級店まで多岐にわたり、全国の食に詳しい。趣味はトライアスロン。胃腸の強さがうりで1日5食くらいは平気で食べることができる。食を通じて「人」と「事」をつなげるイベントオーガナイザーも務める。自らが「トレンドウォッチャー」として情報発信を行う。
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