サービス提供者に犠牲を強いる「おもてなし」というブラック労働の素(2/3 ページ)
新型肺炎が猛威を振るう中でも、サービス業は接客しなければならない。「サービス業で、マスクをするのは失礼」と感じている人も多いかもしれないが、本当にそうなのか。「おもてなし」の心は、ブラック労働につながっているかも……。
コロナウイルス対応
新型肺炎を起こすコロナウイルスだけでなく、インフルエンザなど、飛沫感染する病気は毎年あります。実際コロナウイルスに感染した人はバスの運転手のように、直接お客さんと空間をともにしていました。医療関係者だけでなく、接客で不特定多数のお客さんと触れなければならないサービス業界は、こうした罹患リスクに常にさらされます。
マスクは絶対的防御ではなくとも、リスクを減らすために一定の効果はありますが、サービス業界ではなぜか「マスクは(お客様に)失礼」という感覚があるとのことで、デパートやホテルのような高級店舗でのマスク着用は奨励されていません。さすがにコロナウイルスまん延で、マスク着用を店側も認めたということがニュースになるくらい、サービス業界の姿勢が消極的なことは明らかだと思います。
飲食店にしろ、ホテル・デパートにしろ、お客様にご迷惑をかけたり失礼があってはならないという姿勢が一貫しているのはすごいなと感じます。ちなみに私が愛用する飲食店(ラーメン屋さんとか定食屋さん)や店舗では、普段からレジのおばさんたちもマスク着用の方が多いので、お店の人のマスクには一切違和感はありません。
サービス提供者に犠牲を強いる「お・も・て・な・し」
全国民が待ち望む東京オリンピックですが、その招致スピーチで滝川クリステルさんが放った言葉「おもてなし」は、日本のホスピタリティ、メンタリティの優れた点を表す言葉として注目されました。おカネではなく心構えからして違うのが、日本という国の行き届いたサービスなのでしょう。
でも、そうなんですか? それで良いのでしょうか? 「おもてなし」って、サービス提供者の犠牲で実現できるものなのですか? だっておカネ関係なしに実現できるのが日本のサービスレベルなんでしょ?
外国だってバカ高い料金払えば、隅の隅まで行き届いたサービスはいくらでも受けられますよ。かつて会社の出張で超高級ホテルに泊まった時、空港までリムジン(注:バスではなく、バカ長いリンカーンのリムジン)で送ってくれたり、コンシェルジェが代わりにレストラン取ってくれたりしました。
そうした手厚いサービスを、料金に繁栄させず、心意気で提供するから日本のサービスレベルは高く、その「素」となるのがおもてなし精神なのでしょう。
それってブラック労働そのものではないのですか?気合いや精神力で仕事をせよというブラック企業の姿勢そのものこそ、「お・も・て・な・し」なのでではないかと、クリステルさんのスピーチを見た時から感じていました。
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