ナイキやディズニーを経てギター最大手のCEOへ プロ経営者が見た音楽市場の“特異性”(5/5 ページ)
ギター大手フェンダーCEOのアンディ・ムーニー氏は、ナイキのCMO、ディズニーコンシューマープロダクツやクイックシルバーで社長、会長を務めた経歴を持ち、ギターコレクターでもあり、バンドマンでもある。フェンダーにとどまらず、エレキギターを中心とした楽器、音楽市場の分析や業界のこれからについて伺った。
ディズニー在籍経験を生かす
――これは日本だけかもしれないですが、アニメは消費者に大きな影響を与えていると思います。アニメにフェンダーのギターを登場させるプロモーションや宣伝の予定はありますか?
ムーニー氏 アニメに関してはディズニーに11年いたのでそれなりに理解しています。偉大なアニメーターたちと仕事をした経験では、彼らは特定ブランドを作品の中で使用することを嫌う傾向にあります。プロダクトステートメントが、自分たちの作品を作る中で邪魔になる場合、その要素を入れたがらないのです。
一方で、エフェクターのプロモーションの際、今までのやり方を大きく変え、全てアニメーションで行いました。これが結構ウケて、Webでも多くシェアされるなど非常に成功しました。
――米国、メキシコと並んで日本にも製造拠点を設けています。それらの拠点に工場(製造拠点)がある意義や日本の拠点に期待していること、日本ならではの意義や特徴はなんでしょうか?
ムーニー氏 日本でのギター製造は歴史的にも長く、また日本のユーザーは世界で一番品質に厳しい傾向があります。日本製のギターはその日本人ユーザーの期待に応えてきたという歴史があります。同じように世界でも品質にこだわるユーザーには日本製を求める人がいます。日本製には弾き心地だけでなく、他の国と違う見た目や質感があります。
私個人のギターコレクションは60本以上ありますが、アメリカンビンテージもあれば、日本製もあります。他の人が見れば同じものかもしれないが、一本一本全く違うものです。
――一番好きな一本は?
ムーニー氏 一本を選べって? そんな酷なことを言わないでほしいな(笑)。まぁ、でも、あえて言うならば、ブルースをやってる時は55年のストラトが好きです。私はヘビィメタルも好きで、メタルを演奏する時はジェイムズ・ルート(スリップノットのギター)のシグネチャーモデルを使っています。日本製のモダンシリーズのストラトが今個人的には気になっています。
――過去の勤めていた企業とフェンダーの似ているところ、共通点は?
ムーニー氏 いいブランドは、いい商品の積み重ねがあります。ナイキなどはマーケティングに優れた会社と思われるかもしれないが、いいプロダクトを作り続けてきたということです。いいプロダクトあってこそ、マーケティングが生きてくる。フェンダーは、大変優れたプロダクトを生み出してきた会社だが、グレートカンパニーとはまだいいたくない。まだまだ成長する、良くなる要素が多くあると信じています。
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