脱24時間で息吹き返したセブン加盟店、密着ルポで迫る「時短営業の意外な現実」:コンビニオーナー“大反乱”の真相(3/5 ページ)
コンビニ業界に脱24時間化の激震が走る。最大手・セブンのとある時短実施店に筆者が密着ルポ。意外な実像から浮かび上がる「コンビニの未来像」とは。
早朝勤務、助っ人バイトが活躍
翌朝の開店は午前6時。午前5時半に筆者が再訪すると、Bさんはもう店内に。揚げ物の棚を洗ったり、コーヒーメーカーをセットしたり。おにぎりもサンドイッチもぎっしり並び、お弁当もかなりある。お客さんが買いに来たとき、欲しい商品がなくて売り逃す「機会ロス」は心配なさそうだ。
「時短によって、洗い物の際、手袋がつけられるようになったんです。それまではお客様の対応が遅れないよう、素手で洗っていましたが、赤ぎれがひどくて」とBさん。程なくアルバイトも出勤し、閉店中に届いていた雑誌を棚に並べたり、洗い物を手伝ったり。
午前6時ジャストにアルバイトがロールスクリーンを上げオープンすると、通勤客や近所の住民など、次々にお客さんが入ってくる。夜午後11時台のお客はまばらだったが、朝午前6時台はかなりの客数があり売り上げ的にも重要な時間帯のようだ。
接客の合間をみてアルバイトが手際良く揚げ物を始め、Bさんは保冷ボックス内の生ハム、ハンバーグ、バウムクーヘンなど納品物を検品していった。
ところで、朝午前6時前に来てかいがいしく働き始めたアルバイトは、A店スタッフではない。インディバル(本社・東京)という人材会社が提供する「ショットワークス・コンビニ」という人材マッチングサービスでA店の仕事を見つけ、この日初めてA店に来た。
コンビニで働いた経験のある人がこのサービスに応募し、「好きな日に1日だけ」コンビニで働き、賃金を日払いでもらう仕組みだ。登録者は多く、A店が募集を出して1時間以内にマッチングが決まることが多い。「就活が決まった大学4年生のほか、本業は契約社員や(別の)アルバイトの副業(として来る人)もいます。いつも助かっています」とBさんは言う。大阪府は近隣の県より最低賃金(≒コンビニの時給)が高く交通の便もいいため、人が集めやすい面もあるようだ。
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