連載
「ノーベル賞は過去の栄光」――三菱ケミカルHD小林喜光会長が語る「日本が“2流国”に転落しないための処方箋」:三菱ケミカルHD小林喜光会長が斬る(前編)(4/4 ページ)
「技術立国ニッポン」が揺らいでいる。AIや5Gなどの先端分野では中国が日本のはるか先を走り、「ものづくり」で高度経済成長を牽引した日本企業の存在感は低下している。そんな中で、日本はどのような科学技術政策を取っていけばいいのだろうか。経済界を代表する論客の一人である小林喜光・三菱ケミカルホールディングス会長(経済同友会前代表幹事)に、日本の技術の現状と求められる対応策を聞いた。
若手にチャンスを与えなければ「2流国」に転落
以上が小林会長へのインタビュー内容だ。技術の立ち遅れに対する強い懸念が印象に残った。世界が注目している先端技術では、中国とはもはや周回遅れとまで言われるほどに差がついた日本だが、まだ望みは捨てられない。何とか若い人材に資金とチャンスを与えて10年、20年後の起死回生を狙ってもらいたいものだ。さもなければ、資源がなく人口も減少に向かう日本は技術立国どころか、先進国ではない「2流国」に転落してしまうかもしれない。
小林会長が指摘するように、日本メディアのノーベル賞受賞に対する幼稚な報道ぶりが目立つ。授賞式にどんなドレスで参列したのかといったことや、晩餐会のメニューをこれみよがしに伝えるのは滑稽としか言いようがない。
関連記事
- 日立に迫られる“日本的雇用”からの脱却 「グローバル人事戦略」仕掛ける中畑専務を直撃
日立製作所が、グローバル事業の拡大に向けて大きく舵を切っている。日立グループの人事マネジメント施策を、海外を含めて共通化することで、社員が能力を発揮できる環境を整えてきた。人事の責任者である中畑英信専務に、今回の施策導入までの経緯と狙いを聞いた。 - 同一労働・同一賃金の衝撃 大企業は本当に「非正規社員を救う」のか
ベテラン人事ジャーナリストの溝上憲文が、人事に関する「経営者が対応すべき施策」を提言する。今回は施行までいよいよ半年を切った「パートタイム・有期雇用労働法」について。同法は、同一労働同一賃金の規定を盛り込んでいるが、正社員と非正社員の待遇差を解消しようとすれば、これまで低い賃金で使ってきた非正社員の賃金を上げざるを得ない。ということは、経営者は空前の「コスト増」に苦しむことになるが……。 - 「生産性を上げても賃金は上がらない?」 伊藤元重学習院大学教授に聞く“日本経済の処方箋”
経済財政諮問会議のメンバーである伊藤元重学習院大学教授に、働き方改革を進める上での課題と日本経済の処方箋を聞いた。 - 「シンギュラリティには一生行きつかない」 安川電機・津田会長に聞く「ロボット産業の未来」
ロボットメーカー大手の安川電機会長で、国際ロボット連盟(IFR)の会長でもある津田純嗣氏にロボットの果たすべき役割について聞いた。 - 同性愛公表のパナソニック取締役ベイツ氏「LGBTへの差別は日本経済の損失」
6月にパナソニック初の外国人取締役に就任した米国人のローレンス・ベイツ氏が、同性愛者であることをカミングアウト(公表)している自身の経験について、就任後初めて取材に応じた。 - 【独占】「ミニ四駆」の生みの親 タミヤ社長が語るプラモデルの未来
ミニ四駆の生みの親、タミヤの田宮俊作社長に、プラモデルの現状、そして令和時代を迎えた今後の在り方について語ってもらった――。 - ANA常務に聞く人材育成競争の“死角”とは――「ダイバーシティを目的化しない」
ANAで人事の責任者を務める常務の國分裕之氏に、社外の人材育成プログラムに参加した狙いを深堀りすると共に、現在の働き方改革をどのように捉え、ANAの人事や採用にどんな課題があるのか、いかにして乗り越えようとしているのかをインタビューした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.