中央快速線E233系にトイレ設置、なんのために?(3/4 ページ)
JR東日本の中央線快速で、トイレの使用が可能になることをご存じだろうか。「通勤電車にトイレ?」と思われた人もいるかもしれないが、なぜトイレを導入するのか。その背景に迫る。
グリーン車サービスとトイレ設置の開始
2018年、JR東日本は中央快速線のグリーン車サービスの開始時期と、トイレ設置を発表した。23年度末にグリーン車サービスを開始するという。あわせて、グリーン車1両と普通車1両にトイレを設置することにもなった。
中央快速線では、12両編成対応のために各駅のホームを延伸し、一方で利用者の安全確保のためにホームドアを設置することになっていた。これらの計画とセットの形で、グリーン車やトイレのサービス導入が行われる。
中央快速線の列車は12両編成となり、4号車と5号車がグリーン車で、4号車と6号車にトイレが設置される。現在の4号車が6号車になり、以下の車両は号車番号がプラス2となる。ほとんどのグリーン車は片開きドアを導入しているが、中央快速線の場合、利用者が多いので両開きドアを採用する。
中央快速線は、大月まで足を伸ばし、列車によっては富士急行線に乗り入れ河口湖まで向かう。そうなると、長距離利用者も必然的に現れる。しかしこれまで、長距離の利用者に向けた設備は十分に備えていなかった。
一方、快適に中央線を利用したい層も多く、そういった人たちは長距離の特急を短距離で利用するだけではなく、そのための特急「はちおうじ」「おうめ」という列車も設定された。
そういった需要は、かなり多くあるのだろう。現に、並行する京王線では着席保証列車「京王ライナー」が人気で、京王電鉄の売り上げは向上している。JR東日本としても大月までの利用で増収を図りたい意図があり、長距離利用者には快適に乗車してもらいたいはずだ。そんな状況があるからこそ、中央快速線にトイレが設置されたのだ。
細かいことを言えば、富士急行線に乗り入れて河口湖に向かう、2編成に分割可能な車両の4両編成は長時間乗車の可能性も高いため、こちらにもトイレを設置してもよかったのではないだろうか。しかし、大月方面への長距離利用者や、高尾〜大月間の本数の少ない区間の利用者のために、トイレが設置されることは、中央線にとってはポジティブな変化である。
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