中央快速線E233系にトイレ設置、なんのために?(2/4 ページ)
JR東日本の中央線快速で、トイレの使用が可能になることをご存じだろうか。「通勤電車にトイレ?」と思われた人もいるかもしれないが、なぜトイレを導入するのか。その背景に迫る。
中央快速線の置かれた状況
中央快速線は、もともとは短距離の路線という扱いだった。東京から高尾まで、全部乗り通したとしても1時間から1時間20分程度の路線で、多くの利用者が短距離の利用だった。しかも、本数は多い。
かつては、東京から高尾に向かう「快速」と、新宿から甲府・松本方面に向かう「普通」が別の列車として存在していた。前者は4ドアロングシート・トイレなし、後者は3ドアセミクロスシート・トイレありと違いがあり、新宿からの列車は高尾までは三鷹、立川、八王子にしか停車しなかった。
ところが、セミクロスシートの列車は乗客であふれるため立川、八王子、高尾発となり、一方で1986年に大月まで特別快速などの運行が行われるようになった。大月までは、1時間40分から2時間程度かかる。長距離・長時間の運行となるものの、グリーン車もなくトイレもない状況が長く続いていた。
中央快速線は10両編成であり、多くの駅が10両までしか対応していない。増える利用者への対応は増結ではなく増発ということになった。
長距離なのにトイレがなく、混雑するのでセミクロスシートは不可能で、グリーン車もなしという環境改善ができない路線であったといえる。しかも短距離の電車と、長距離の特急列車や普通列車が同じ線路を走らなければならない構造のため、抜本的な対策がとりにくい。
もし三鷹までの複々線が立川まで延伸されていた場合、事態は異なっていたと思われるものの、実現できていない中で高架化が完成した。特急と通勤電車が同じ線路を走る状況は変わっていないのだ。
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